インド哲学

(教育研究分野:思想文化学)

インドが生み出した思想文化から人間存在を探究します。

インド哲学は、人類の知的遺産であるインドが生み出した思想文化の諸相を学び、人間存在を探究する学問です。厳密な文献学的方法に基づいてテキストを解読し、古典の世界に現在そして未来の人間存在の在りように対する新視座を見出し、それを新たな価値観として創造することを目的としています。

インド哲学は、インド学と仏教学の二本の柱で構成されています。インドの哲学をはじめとする諸学問体系・宗教思想などに加え、インドで発生し、アジア諸地域に伝播して展開を遂げた仏教の哲学・宗教思想を研究対象とします。サンスクリット、パーリ語、チベット語などで書かれた多種多様な古典文献の中から、学生の関心に応じてテキストを選択し、徹底した個人指導により、テキストの読解を進め、その思想的・文化的背景の理解をはかることを目指しています。

学士課程で当分野の基礎知識を習得した博士課程前期の学生には、インド学と仏教学をさらに深く学べるように支援します。さらに、大学院から新たに仏教学を専攻することを希望する日本人学生や留学生を積極的に受け入れ、仏教研究の門戸を内外に広く開放しています。就職志望の学生にも、最先端の学問に触れることで、将来社会で活躍する自信を持つことができるように支援します。

博士課程後期の学生には、独創的かつ高度な研究を開拓すること、英語論文や国際学会での発表を通じて研究成果を世界に向けて公開することを支援し、また、海外への留学も推奨しています。それと同時に、他大学の前期課程修了生や、学位取得を目的とする留学生も積極的に受け入れます。精度の高い英語表現と厳密な論理展開の方法について徹底的に指導し、国際的な視野を持ち、世界的水準の論文を発表できるインド学および仏教学の研究者を育てることを目標としています。

インド学も仏教学も世界の研究者・学生との学術交流によって支えられています。国際性は当分野の特色の一つです。当分野の教員と学生は、積極的に国際学会に参加し、研究成果を国外に向けて発表しています。

また、当分野は社会に向けて広く門戸を開放しています。大学院からインド学と仏教学を学びたいという人たちのためには、大学院からでも古典文献を読解できるようになるためのコースが用意されています。仕事をしながらでも大学院でインド学と仏教学を学べるような制度もあります。

当分野の修了者の進路は、教育研究職から一般企業・官公庁まで多岐にわたります。

プラジュニャーカラグプタ著『プラマーナ・ヴァールティカ・アランカーラ』

▲ プラジュニャーカラグプタ著『プラマーナ・ヴァールティカ・アランカーラ』のチベット語訳、北京版西蔵大蔵経所収

『アマルシャタカ』写本

▲ 『アマルシャタカ』写本(17世紀、The Prince of Wales Museum of Western India 所蔵)の挿絵「恋人をまつ女性」


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