メールマガジン No.2(2005年3月号)

リテラ友の会 メールマガジン No.2(2005年3月号)
2005/03/14 広島大学大学院文学研究科・文学部
 
□□目次□□
1.平成16年度卒業論文発表会(文化財学分野4年 川后のぞみ)
2.今月のコラム(地表圏システム学講座 奥村晃史教授)
3.みなさまの声(リテラ・ニューイヤー・コンサートの感想)
4.文学研究科(文学部)ニュース
5.広報・社会連携委員会より
 
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【1.平成16年度卒業論文発表会】
 
  今年度から、各分野から1名ずつの卒業論文優秀者の発表会がおこなわれることになりました。2月22日(火)午後、松本教務委員長の司会によって開催され、終了後には岸田裕之研究科長による表彰がおこなわれました。
 
  今号のメールマガジンでは、その中の一人、文化財学分野の 川后(せんこう)のぞみさん の卒業論文の要旨を紹介させていただきます。また、川后さんの卒業論文への評価について、文化財学分野の三浦教授に付記として一言いただきました。
 
 「旧大國家住宅の研究」 川后のぞみ(広島大学文学部文化財学分野4年)
  本論文は岡山県和気町に立つ江戸時代の大型民家の研究である。その主屋は比翼入母屋造という複雑な屋根形式を持ち、全国的にも例のない珍しい造形である。農家と町家という全く異なる特色を併せ持っており、しかも、その独特の形式は宝暦十年(1760)創築当初からのものではなく、大規模な改造を繰り返すことによって成立した特異な例であることを明らかとした。その複雑な変化の様子は、多数の資料から正確に知ることができ、大規模民家の成立・発展の様子を知る上で重要な資料と考えられる。
 
 また、残されている多数の家相図から、その改造の多くが家相説に従ったものであること、しかしながら、家相説に必ずしも服従していた訳ではなく、家の都合に合わせて積極的に利用していたことを明らかにした。このように、旧大國家住宅においては活用された家相説の実態という民俗学的な視点においても資料的な裏付けが可能であり、貴重な資料と言える。
 
  以上の点から、旧大國家住宅は古建築と民俗学の両分野にわたって評価できるものであり、他にはない文化財的な価値があるものと結論づけることができる。
 
 〔付記〕文学研究科教授(文化財学) 三浦正幸
 川后さんは三年生の夏休みに現地調査へ出かけ、その年のうちにコンピューター製図による実測図面と建造物の調査報告を完成させ、それをもとにして出版した報告書によって、旧大國家住宅は国の重要文化財に指定された。その報告書の内容に大幅な加筆を行って出来たのが本論文である。家相図は負のイメージがあったが、当時の人々が頼もしく家相図と向き合っていたことを論文中で明らかにしている点が目新しい。
 
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【2.今月のコラム】
 
 「長期的地震危険度評価と自然地理学」
地表圏システム学講座:地理学分野 教授 奥村晃史
 
  2005年1月17日から24日まで、兵庫県,北淡町震災記念公園で、阪神淡路大震災10周年を記念して『北淡国際活断層シンポジウム』が開催されました。
実行委員長:中田 高、事務局長:奥村晃史が企画運営にあたり、活断層研究に
基づく地震災害軽減をテーマとして海外50名、国内100名の研究者を集めました。
会議の規模・内容共に世界のトップレベルで、長期的地震危険度評価を中心に、断層と地震について幅広く研究交流が進められました。
 
  地震と地理学の接点は、過去数百年〜数万年の地震の歴史にあります。自然地理学の一分野である地形学の課題の一つは、現在の地形の生い立ちを解明することです。大地震の震源断層が地表に現れた活断層や、地表直下に残された地震動や津波の記録を調査して地震の歴史を解明する研究は地形学が最も得意とする分野です。
 
 1995年兵庫県南部地震以前、地震防災はハイテク器機を用いた観測によって地震の前兆を検出し、直前予知を実現することに主眼がおかれてきました。しかし、大多数の地震には明瞭な前兆現象がありません。また、歴史記録に基づく地震カタログが信頼できるのは江戸時代以降です。兵庫県南部地震を契機に、地形学・地質学に基づく千年・万年の地震情報が初めて地震災害軽減に活用されるようになりました。この10年で日本全国の地震の歴史について膨大な情報が収集され、その情報に基づく確率論的地震ハザードマップが今年公開されます。『あなたの家が今後30年間に震度6強の揺れを経験する確率は12%です。』この予測をどう理解し、どう活かすか、知識と智慧に基づく災害軽減が幕を開けようとしています。活断層の調査と研究は成果とその社会への還元の両方を強く求められています。
 
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【3.みなさまの声】
 
  1月24日(月)におこなわれました「リテラ ニューイヤーコンサート」には多数のみなさまにお越しいただき、ありがとうございました。
  会場にていただきましたアンケートから、みなさまの声を抜粋して紹介させていただきます。
 
*「新聞でコンサートを知り、演奏曲「ユーモレスク」等聴き慣れた曲目だったので是非聴きたく参りました。日頃の色々な出来事、イヤな事が吹っ飛びました。すばらしい演奏を有り難う御座いました。亦次の機会にも是非参り度く存じます。ご活躍をお祈り致します。」
 
*「私は勤め帰り、郷原から伺いました。ビバルディの冬はききごたえあ    りました。この1曲だけで、聴きにきてよかったと思います。美しく澄んだ音色は、あこがれの音です。ぜいたくな時を過ごさせていただきました。ありがとうございます。」
 
  なお、これ以外に、新聞での案内方法、会場(サタケ・メモリアル・ホール)への道順表示、プログラムの内容などについて、建設的なご提言をいただきました。ありがとうございます。今後のイベントへと活かしていきたいと存じております。 
 
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【4.文学研究科(文学部)ニュース】
 
*2005年3月23日(水)〜24日(木)
     国際研究集会「中世ヨーロッパにおける排除と寛容」
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【5.広報・社会連携委員会より 高永 茂】
 
 高永です。弥生三月も半ばを迎えました。一月の「リテラ ニューイヤーコンサート」に始まり、二月には大学院と学部の入学試験が行なわれました。私は北京研究センターで大学院入試を行なうために二月中旬、中国北京市に出張しました。北京はちょうど日本の正月にあたる「春節」の時期でした。日本の年始と同様に社会活動は一時休止といったところでした。そんななか、北京研究センターでは春節の休暇を返上して教員と学生が入学試験のために勉強を続けていました。その真剣さには感動しました。北京の冬にはめずらしく積雪がありましたが、学生たちは熱く勉強に打ち込んでいました。

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リテラ友の会・メールマガジン
オーナー:広島大学大学院文学研究科長 岸田裕之
編集長:広報・社会連携委員長 岡橋秀典
発行:広報・社会連携委員会
 
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