メールマガジン No.55(2013年5月号)

リテラ友の会 メールマガジン No.55(2013年5月号)
2013/5/28 広島大学大学院文学研究科・文学部
        
□□目次□□
1.新任教員挨拶
2.帝釈峡野外実習施設(帝釈峡遺跡群発掘調査室の完成
3.リニューアル版『人文学へのいざない』刊行!!
4.文学研究科(文学部)ニュース
5.広報・社会連携委員会より
      
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【1.新任教員挨拶 応用倫理・古典学講座 准教授 硲 智樹】
  
 みなさま、はじめまして。2013年4月1日付で広島大学文学研究科応用哲学・古典学講座(西洋哲学)に着任いたしました硲智樹と申します。どうぞよろしくお願いします。
  
 わたしは西洋近代哲学、とくにドイツ観念論の哲学者ゲオルグ・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルの哲学を専門的に研究しています。
   
 ヘーゲル哲学にわたしがはじめて触れたのは、大学院修士課程における某先生(わたしの指導教官でもあります)の演習でした。その演習ではヘーゲルの著作のうちでも最も抽象的で難解であると言われている『大論理学』が講読されていました。そのときのわたし自身の最初の印象は「まったく理解できない…。まあヘーゲルだけは研究対象にすることはないだろう…」というものでした。しかし、ふと気づいてみれば、自分自身がいつのまにかヘーゲル研究者に…、ということで現在に至っております。
  
 学位論文では、ヘーゲルの自己意識論を承認の概念と関連付けながら、自己意識の存在論的構造を「反省」のうちに見出し、自己意識-承認-反省の本質的連関を明らかにするという課題に取り組みました。自己意識の成り立ちを社会的関係のうちに見てとるというヘーゲルの「論理」に魅かれ、このような主題を選んだ次第です。ちょうど、「承認の政治」やフェミニズム、マイノリティの諸問題の観点から、アイデンティティや「他者」といった主題が現代の社会・政治哲学の関心の的であったときで、このような現代的諸問題に対してもヘーゲル的視点から何か言えることがあるのではないかということも頭の隅にはありました。
  
 今ではヘーゲル研究を更に広く深く進めるべく、主要著作の読解はもちろんのこと、その思想形成史や現代の分析哲学との関連などについて、文献学的研究を中心に行っています。ただ先述の某先生いわく、ヘーゲルの文献学的研究にとどまっていてはおもしろくない、ヘーゲルを批判できるくらいDenkenするべしとのこと、当然まだまだその地点までには至っておりません。
  
 ところで、広島大学文学研究科応用哲学・古典学講座(旧西洋哲学研究室・旧倫理学研究室)ではカントおよびドイツ観念論(フィヒテ、シェリング、ヘーゲル)研究の伝統が脈々と受け継がれています。この伝統を受け継ぎつつ、さらなる発展に向けて非力ながら尽力することが自分自身の「Bestimmung」であると、勝手ながらに思いつつ、今ではわたしが担当している大学院の演習でヘーゲルの『大論理学』を講読しております。
  
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【2.帝釈峡野外実習施設(帝釈峡遺跡群発掘調査室)の完成 地表圏システム学講座准教授 竹広文明】 
 
 本年3月27日、広島大学帝釈峡野外実習施設(帝釈峡遺跡群発掘調査室)の開所式が挙行されました。浅原利正学長ならびに勝部眞人研究科長の挨拶、滝口季彦庄原市長(当時)の祝辞の後、テープカットを経て、皆様方に施設内を見学していただきました。その後、隣接する庄原市帝釈峡博物展示施設・時悠館を見学し、帝釈自治振興センターで懇談会が行われました。当日は、あいにくの雨天の中、大勢の皆様にご列席いただきありがとうございました。
  
 帝釈峡遺跡群は、広島県東北部の庄原市から神石郡に広がる帝釈石灰岩地帯に位置しており、洞窟、岩陰を利用した多くの石器時代の住居遺跡が発見されています。帝釈峡の洞窟、岩陰遺跡では、縄文時代を中心に旧石器時代から古代・中世にまでおよぶ、各時代・各時期の遺物包含層(文化層)が整然と連続して堆積しており、石器時代の変遷を復元する際の基準となってきました。さらに、石灰岩地帯に立地していることから、通常、遺跡では残りにくい人骨、動物骨、貝類の遺存に恵まれ、考古学のみならず、人類学、古生物学、地質学などの分野からも注目を集め、他大学・研究機関などの研究者も参加し、特色ある学際的な研究が進められています。
  
 遺跡群の発掘調査は、1962年の帝釈馬渡岩陰の第1次調査以来、毎年継続して実施しています。1977年には帝釈峡の地に帝釈峡遺跡群発掘調査室が開設され、現地調査の拠点となりましたが、国立大学でもこのような発掘調査実習施設が設置されているのは東京大学と本学のみです。そして、地元の皆様のご支援、ご協力のもと、2012年には発掘調査も50周年を迎えることができました。
    
 これまで35年間にわたり、旧調査室は私たちの調査研究を支えてくれましたが、建物の老朽化が進行していました。また、学生の収容人数に限りがあり、参加人員の調整で頭を悩ませていました。新施設は延床面積310m2の木造平屋建物で、収容人数の問題も大幅に改善されました。今後も、発掘調査、野外実習や、他大学・研究機関そして地元との共同研究をはじめ、新調査室を拠点に地域に根ざした調査研究を推進していく所存です。
  
 なお、この施設は広島大学関係者の共同利用施設となっており、研究、教育活動のほか、様々な用途に使用できます。多くの皆様方のご利用をお待ちしております。
  
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【3. リニューアル版『人文学へのいざない』刊行!! 文学研究科長 勝部眞人】
   
 このたび広島大学文学研究科『人文学へのいざない』第三版が、広島大学出版会から刊行されました。
 これまでは主に新入生を対象に、大学に入って"どうやって学問と出会うのか?"を考えてもらうことを念頭に置いてきましたが、何人か教員の交替もあって新しく「高校生向け」をメインに刊行することにしたものです。
 ただし、記述の中心はやはり「文学研究科のそれぞれの教員が、どうやって学問と出会ったのか、何を考えながら研究してきたのか」ということです。
 高校生の段階だと、「文学部では何を勉強しているのか」とか「文学部へ行って何をするのか」などのイメージがなかなか築きにくいだろうと考えたからです。
 それぞれの教員が自分の学問と出会った場面は、どれもドラマに満ちています。わくわくするようなドラマです。そういう"わくわく"感を、若い世代の人にも感じ取ってもらいたい…、そのような思いがどの文章からもにじみ出ています。
 当然本学文学部の新入生にも、それは味わってもらいたいと思いますので、教養ゼミなどで輪読し感想を言い合ったりすることも行われています。
  
 私が敬愛する1人の教員は、このなかで「人文学は実学である」と書いています。誠にその通りだと思います。人が長い一生を生きていくのに、人文学というのは直接目に見えなくとも大きな力、軸を与えてくれるものだと思います。
  
 一般の方で本書を希望される場合は、広島大学生協等において1冊945円(税込)で販売しておりますので、ぜひお求めいただければと存じます。 
 ※ (株)紀伊國屋書店広島店、(株)ジュンク堂書店広島店、アマゾンジャパン(株)でもお求めいただけます。
    
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【3. 文学研究科(文学部)ニュース】
  
○内海文化研究施設 第27回季例会公開講演会を開催します
【日時】2013年6月24日(月
【場所】大学院文学研究科 B104号教室[東広島キャンパス]
詳しくは、文学研究科HPをご覧下さい。
  
〇サテライト展示1階ロビー【コレクション企画展示】のご案内
 月から文学研究科サテライト展示を、湖南省長沙馬王堆の前漢時代の墓から出土した副葬品の画像と、山東省沂南の後漢時代の墓に刻まれた画像の紹介に衣替えしました。お近くにお越しの際は、是非ご覧下さい。

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【4.広報・社会連携委員会より 八尾隆生】
  
 連休が終わったと思ったらもう鬱陶しい梅雨が始まろうとしていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は毎日自宅から歩いて大学に参上しておりますが、この季節になると傘をさしたまま歩道を暴走する自転車に恐怖を覚えます。しかもスマホでイアホンなどという馬鹿者も多数おり、反射神経の衰えた弱者をもう少しいたわってほしい、そう切に祈ります。知っている学生がいたら片っ端から交番に密告してやりたい誘惑に駆られます。授業受講生ならセメスター末にもみじ上で報復してやろうか・・・(うそです)。
上記のようなことをぶつぶつと共同研究室でぼやいていたところ、ある学生がぼそり、「先生も乗ればいいじゃないですか。あ、そうか、先生は自動車だけでなく自転車も乗れないんですね」 この学生は留年させたい・・・自転車くらいまだ乗れます。たぶん。前回乗ったのは12年前ですが。すいません。前二回のメルマガで変な文章を書いて以来、その癖がどうにもぬけません。サーヴィス精神過剰というか、その割に「すべっている」というか・・・ご海容くださいませ。皆様も本メルマガを読んで少しは気晴らしをし、健康管理にもおつとめ下さい。私はとりあえず自転車に負けずにすたすた歩けるように励みます。それには節酒節食!
  
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オーナー:広島大学大学院文学研究科長  勝部眞人
編集長:広報・社会連携委員長  友澤和夫
発行:広報・社会連携委員会

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