メールマガジン No.104(2021年7月号)

メールマガジン No.104(2021年7月号)
リテラ友の会 メールマガジン No.104(2021年7月号) 2021/7/28

□□目次□□
1.フランス語の文化を楽しもう!オンライン講演会報告
2.中国四国歴史学地理学協会2021年度大会オンライン開催報告
3.文学部ニュース
4.広報委員会より

1.フランス語の文化を楽しもう!オンライン講演会報告 クレモンティーヌ・サンドネール氏「フランスモード界における日本の影響 」【欧米文学語学・言語学コース(フランス文学語学分野)教授 宮川朗子】

 6月28日18時より、ファッション・デザイナーで、エスモード大阪校と京都校の講師でもあるクレモンティーヌ・サンドネール氏による講演会が、オンラインで開催されました。学内外より約50名の視聴者が、氏の話に耳を傾けました。
 フランス文学語学研究室によるオンライン講演会は、今回で3回目(第1回目は日本フランス語フランス文学会中国・四国支部会との共催)となりますが、始めたきっかけは、コロナ禍でした。昨年度は、学生と教員が直接出会う場が少なかったせいか、大多数の学生にとっては大学に入って初めて学ぶフランス語とその文化に対する興味を思うように掻き立てられない歯がゆさがありました。そこで、フランス語文化に親しんでもらえるようなことはできないかと考え、多方面に人脈を持つマリ=ノエル・ボーヴィウ准教授の尽力によって、講演会が開催できました。

 今回の講演者、サンドネール氏は、まず1860年代から1940年代までの芸術におけるジャポニズムの黄金時代とモードに対するその影響を概説し、次に1950年代から現代までの、フランスのモード界における日本人デザイナーの活躍を新たなジャポニズムの潮流として紹介しました。最後に、現在注目されているゴミゼロやアップサイクリングなど環境に配慮したファッションにも日本の服飾文化の « DNA »が生きていると説きました。つまり、この問題にいち早く着手したのが三宅一生だったのですが、このデザイナーが、着物という、ほとんど端切れを出さずに作られ、かつ何代にも受け継がれて着られる服飾文化に生まれ育ったことと、無関係ではないとの見方からだったのです。
 聴衆から、映画とモードの関係や日本的と考えられている色彩などについての質問があり、また非常に興味深かったとの謝辞も出ました。
  次回は、フランスの政治と社会についての講演会を後期に計画しています。お楽しみに。

クレモンティーヌ・サンドネール氏

クレモンティーヌ・サンドネール氏

2.中国四国歴史学地理学協会2021年度大会オンライン開催報告 【歴史学コース(東洋史学分野)准教授 舩田善之】

 広島大学文学部に事務局を置く中国四国歴史学地理学協会は、去る2021年6月27日・28日にオンラインで大会を開催した。小文では、事務局としてその準備と運営を担った立場から、その概要を報告したい。

 時計の針を2020年3月まで戻そう。日本では小中高の一斉休校が施行されている中、11日にWHOによるパンデミック宣言、24日に東京オリンピック・パラリンピックの延期決定、29日に志村けん逝去のニュースと、COVID-19をめぐる先の見通しは濃い霧が立ち籠めるかのようで、事態がよくなる兆しも見えなかった。本会は、6月に広島大学での開催を予定していたが、4月2日に会長と事務局の間で、大会中止を含む会の活動を1年間休止する方向で意見がまとまった。評議員会の承認を得た7日、日本政府は7都府県に緊急事態宣言を発出した。

 それから1年。東京オリンピック・パラリンピックは開催の方向で準備が進められていたが、COVID-19は収束するどころか、猖獗を極めていた。3月21日に2度目の緊急事態宣言は解除されていたものの、3月末には関西を中心に新規陽性者の数は増加に転じていた。4月2日、大会をオンラインで開催することを評議員会に諮り、4月7日に承認を得た。1年前と同じスケジュールに何やら奇縁を感じる。その後、ご存じの通り、25日に4都府県に緊急事態宣言が発出され、5月16日には広島県もその対象となり、最終的には10都道府県が対象となった。沖縄県以外は6月20日に解除されたものの、東京都・大阪府など7都道府県では、蔓延防止等重点措置の実施に移行した。4月の段階でオンライン開催と判断したことは間違っていなかったといえるだろう。

 コロナ禍の下、世間ではすでにオンラインのビデオ会議システムの利用が一般的となっていた。多くの学会がオンラインで大会を開催していたので、それらの前例とそのノウハウを参考にしながら、開催に至るスケジュールと準備・開催方法を策定した。本会では会員に対する通信方法が電子化されていなかったため、書面の郵送を要するのが小さな問題として生じる程度であった。今後の通信の電子化も企図し、4月12日に書面で大会がオンライン開催になったことを通知するとともに、会員向けにメールアドレスの提供を呼びかけた。次に、参加申込はオンラインで受け付けることとし、6月14日を期限とした。以上は、Microsoft Formsのアンケート機能を使用した。そして、6月23日に、ビデオ会議システムのURL・ID・パスコードを参加申込者に電子メールで通知した。ビデオ会議システムについては、筆者の経験からZoomが最適だと判断し、講演・総会にはこれを採用した。部会については各部会の裁量に委ねた結果、3部会がZoomを、1部会がMicrosoft Teamsを採用した。

 さて、当日本番。大きな問題もなく開催することができた。初日は、広島大学の中山富廣教授による「近世たたら製鉄史研究の現在」と題する講演が行われた。研究蓄積の厚い分野について、これまでの研究の広がりを総括した上で、中山教授の問題関心からその視角と課題を提示する重厚な講演であった。

中国四国歴史学地理学協会2021年度大会ポスター

中国四国歴史学地理学協会2021年度大会ポスター

講演スライドのタイトルページ

講演スライドのタイトルページ

   素晴らしい講演をしていただいた中山教授に対して申し訳なかったのは、参加者が56名に止まったことである。これはひとえに筆者の独断と過大な慎重さの結果であった。まず、参加申込の段階で、効率的な運営とトラブル防止の観点から、対面開催時と異なり、参加資格を会員・報告者と関連する学生に限定した。それでも84名の申込があり、Zoomの基本プランの上限人数100名に照らして、この数字は筆者の見込み通りであった。しかしながら、予想以上にノーショーが多かったのである。参加費無料でオンラインという手軽さにもよるのだろう。ノーショーの方々にはそれぞれご事情もあるだろうが毒づきたくもなる。現実問題として、どのようなイベントにおいても、参加費やキャンセル料を課さない場合、申込者数と実際の参加者数の読みは極めて難しいが、主催者側として、この点は柔軟に考えておくべきであった。例えば、当日の参加者が100名を超過することになった場合は、その時点で入室を打ち切る旨を前もってアナウンスしておくか、オプションの費用はかかるが、思い切って参加人数100名以上も可能なプランを契約しておけばよかったのだろう。

 ともかく、大会・部会をつつがなく開催できたのは、講演者の中山教授を始め、各部会の報告者の方々、事務局の方針を円滑に認めて頂いた会長と評議員の方々、各部会の担当者の方々、そして事務・運営面で日頃よりフォローして頂いている村上さんのご協力やご尽力の賜物である。この場を借りて深甚の謝意を表したい。来年度は、広島大学を会場として開催予定である。1年後の新型コロナウイルス感染症の状況はどうなっているだろうか。

3.文学部ニュース

○佐田谷・佐田峠墳墓群が国史跡指定の答申を受けます
    詳細はこちらからご覧いただけます。

○博士課程後期1年の山中蛍さんが2021年度地理科学学会春季学術大会で優秀発表賞を受賞しました
    詳細はこちらからご覧いただけます。

○広島大学オープンキャンパス 2021(開催日時8/19〜20)を開催します
    詳細はこちらからご覧いただけます。

○前号で紹介した新任教員2名のエッセイが「Web版人文学へのいざない」に掲載されています
   こちらからご覧いただけます。

4.広報委員会より 【広報委員会委員  中山富廣】

   今週より猛暑日が続いておりますが、皆さま如何お過ごしでしょうか。修士論文や博士論文の読破に追われている先生方も多いと思います。ワクチン接種は終えられたでしょうか。小生は24日に2回目の接種予定です。1回目は何の副反応もありませんでしたので、2回目が心配です。

 さて今号は二つのオンライン会議の模様を中心に構成いたしました。宮川先生、舩田先生、御多忙中のところ、ありがとうございました。

 それでは皆さま、第5波が予想されていますが、くれぐれもご自愛ください。

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