メールマガジン No.108(2022年3月号)

メールマガジン  No.108(2022年3月号)
リテラ友の会 メールマガジン  No.108(2022年3月号) 2022/3/29

□□目次□□
1.文学部/人文学プログラム退職教員あいさつ
2.2021年度卒業論文優秀者による発表会報告
3.公開研究発表講演会「日本語史研究の新しい視座 」開催報告
4.文学部ニュース
5.広報委員会より

1.文学部/人文学プログラム退職教員あいさつ

奥村晃史 教授【地理学・考古学・文化財学コース(地理学分野)】

 1996年10月1日に文学部に着任してから9313日で定年退職を迎えます。そのうちおよそ2300日は国内、2250日は海外を旅していました。着任以前から仕事の優先順位は第一に海外での調査研究と研究交流、第二に国内での調査研究にあって、それらに全力を尽くしてきました。21世紀に入ると、その成果を社会や学会に還元するための仕事が第三となりました。パンデミックでオンライン会議だけになった今から思うと、第三の仕事のために毎年100日以上飛び回っていたのが、遠い過去のように思えます。

 さて、それでは大学教員の本務である教育はどうなっていたのか、と誰もが思われるでしょう。博士課程後期に進学してやがてプロの研究者となる大学院生の指導の場は、海外と国内のフィールドと学会がとてもよく機能しました。フィールドワークが研究の根幹にある自然地理学の研究で、学生や大学院生と現場で一緒に働けたことはよかったと思います。

 広島大学に来るにあたって、次世代の研究者を養成することを目的のひとつとしていましたが、これは最低限のレベルですが達成できました。文学部・文学研究科で自然科学を教えて地球惑星科学の中で活躍をまつことは簡単ではありませんでした。学部の講義・演習は休校と補講の嵐でした。正規の時限以外の補講の方が多い授業も時々ありましたが、とにかく必要な授業回数はなんとか満たすようにしました。

 文学部の学生にとって想定外の自然地理研究に向かうきっかけは学部の授業にあると思い努力はしました。しかし、2001年以降文学部入試方式の変更や社会の動向もあってか、地理学分野の大学院進学率は1990年代の14.4 %から 2001年以降の 6.2 %に下がってしまい、指導する大学院生がごく少数になってしまいました。自然地理を選ぶ大学院生も数少なくなりました。

 指導する学生がいない、そこで一層学外の業務に専念する、大学にいない先生を指導教員に選びにくい、という悪循環もあったかもしれません。いま改めて、もっと優しく学生と大学院生を勇気づけるような指導をすべきであったと後悔しています。これからもフィールド調査研究と学会での活動は続けるので、その中で一緒に働いて、若い人たちと良い仕事ができれば、せめてもの罪滅ぼしになると思います。

3月24日に行われた退職記念公演の様子

退職記念公演後、花束を贈られる奥村教授

退職のご挨拶(にはなってないけど) 中山富廣 教授【歴史学コース(日本史学分野)】

 2006年に教育学部から配置換えとなり、この文学部でお世話になった15年間、大過なく(たぶん)過ごさせてもらいました。私事で恐縮ですが、一番印象に残っていますのは、2013年のGW明けの月曜日午後、教務委員会の最中、突然気を失って倒れたことです。その場に居合わせた先生方には大変ご迷惑をおかけしました(その後代理として会議に呼び出された八尾先生ありがとう)。目が覚めつつあるときには、先生方や事務の方の呼ぶ声や体をゆすられてうるさいなぁと、おぼろげに思いましたが、直後「やってしまった」と救急車の中でしょんぼりと横たわっておりました。

 しかしそのまた1年後のGW明けの月曜日、同じ時間に今度は研究室で気を失いました(失神といった方がよいのでしょうか)。このときには太田出先生が物音に気付いて対処してくれました。2回目の救急車です。1回目の検査もそうでしたが、結局原因はわかりませんでした。MRIやCTスキャンなど脳の検査をしても異常は一切認められませんでした。そこで次の年のGW明けには倒れないようにと気を付け、院生たちも心配になったのか研究室に顔を出してくれました。おかげで何事もなく終わりました。

 災害は忘れた頃にやってくる。年が明けて3月下旬、福岡市でかつてのゼミ生の結婚式に出席し、明くる月曜日に出勤したのですが、またもや同じ時刻に研究室で倒れました。このときには学生さんが倒れる物音に気付いてくれました。文学部の玄関前に救急車を3度も呼んだのは私ぐらいでしょうか(自慢ではありませんが)。結局、3年連続倒れてしまいました。それからは倒れることもなく現在に至っております。

 変な挨拶になってしまいました。文学部のためにそれほど汗をかいておらず、また学位もたくさん出したというわけでもなく、コロナ禍のなか退職となりました。本当に皆さまには感謝の念にたえません。益々のご健勝をお祈り申し上げます。

検地帳を持つ中山教授
「人文学へのいざない」から写真転載

広島大学を出発点にして Beauvieux, Marie-Noëlle(ボーヴィウ マリ=ノエル)准教授【欧米文学語学・言語学コース(フランス文学語学分野) 】

 短い4年間でしたが、私にとって、広島大学はかけがえのない貴重な出発点になりました。

 広島は、日本における3番目の拠点でした。東京で初めてフランス語を教え、京都で講師になり、ようやく広島大学に専任教員として着任して文学も教えることができました。教育にさらに力を入れつつ、落ち着いて研究にも集中できるようになりました。文学部と総合科学部のフランス語の同僚の先生方をはじめ、たくさんの方々に支えて頂きました。フランス語で書いた博士論文を出版できたのも、国文学の先生方に迎え入れて頂き日本語で研究活動ができたのも、この温かい職場環境のおかげでした。

 コロナ禍ということもあり、いつも不安を抱きながら、しかし学生やカメラの前では、マスクの裏側の笑顔を絶やさずに精一杯頑張りました。いや、むしろ辛い日々を過ごしているにもかかわらず、いつも笑顔で意欲的な学生たちに支えて頂いたからこそ、頑張ることができたのだと思います。文学や外国語教育が軽視されがちな社会において、私自身その大切さをどう伝えられるのか悩んでいますが、広島大学で学生が真剣に学び、喜ぶ姿を見て、教員として幸福の瞬間を何度も味わうことができました。フランス語のスピーチコンテストで連続優勝を果たしましたし、今年は初めて「日本の学生が選ぶゴンクール賞」が企画されるなか、学生が選考委員として積極的に活動し、フランス語で文学作品を読んでいます。フランス人の教員として、これ以上の喜びはありません。

 広島大学のおかげで、研究者として、教員としてどうありたいか、よりわかるようになった気がします。これからは、広島大学の教員であったという誇りを胸に、新しい大学で頑張っていきたいと思います。また別のかたちで、皆さまと一緒に働くことができたら嬉しく思います。

 4年間本当にお世話になりました。心より感謝申し上げます。

卒業する学生にお話しされるボーヴィウ先生

学生に笑顔で学位記をわたされる様子

広島で育てた芽 福本江利子 特任助教【人間社会科学研究科人文学プログラム(哲学分野)】

 私は元々2018年8月にURAとして広島大学に着任しました。アメリカのアリゾナ州立大学で学位を取得してすぐに広島に来ましたので、砂漠やサボテンの風景から、緑豊かな東広島の地へ来たときに感じた美しさ、新鮮さをよく覚えております。URA時代は、研究支援の立場から、文学部のみなさまにお世話になりました。その後、2021年度に特任助教(兼研究科運営補佐)として人間社会科学研究科の広報をはじめとする研究科運営業務に携わることになり、人文学プログラムに所属させていただき、お世話になりました。新型コロナウィルスの影響もあり、なかなかみなさまに直接お会いしてご挨拶したりお話をしたりする機会がなかったことは残念に感じております。

 この度、広島を離れて東京へ移ることになりましたが、広島大学での在職中に、文学部を含め広島大学の方々との共同での研究や取組の種、芽のようなものをいくつか育ててまいりました。今後も広島大学を訪れることがありそうですので、一部の先生方には、またお目にかかることがあるかもしれません。

 文学部/人文学プログラムの中の多様性に加えて、総合大学である広島大学には多様な人文学・社会科学の分野さらには医理工系の分野があり、特に学生のみなさんにとっては豊かな学びの場であることと思います。私自身も、文学部の先生方だけでなく、他の学部に所属されている文化人類学や教育学、さらには化学など、さまざまな分野の先生方と関わる機会があり、大いに刺激を受けました。

 短い期間ではございましたが、文学部/人文学プログラムの教職員のみなさまには大変お世話になり、感謝申し上げます。ありがとうございました。

藤田衛 助教【哲学・思想文化学コース(中国思想文化学分野)】

  広島大学に着任してからはや三年、時が経つのは早いものです。広島大学の博士課程を修了して、すぐに助教として採用していただきました。それは、つくづく幸運だったなと思います。

 この三年間を振り返ってみますと、教育面でも研究面でも実りある期間でした。最初の一年は、突如、学生から教員の立場に変わったこともあり、どのように講義や演習を行えばいいか、戸惑い、右往左往することもありました。しかし、周りの助けもあり、なんとかやり遂げることができました。ここ二年は、コロナに振り回された年でした。対面での授業が制限され、オンラインでの実施を余儀なくされました。オンライン授業は、する側でも受ける側でも初めてで、手探りな状態で実施するほかありませんでした。学生の顔が見えず、果たして聞いているのか、理解しているのか分からない状態で授業を行うことは、まさに糠に釘を打っているようでした。とはいえ、コロナ禍にあって悪いことばかりでなく、人との接触や外出を制限されたことで、論文執筆などの研究活動に集中できたのは、私にとっては良いことだったかなと思ったりします。何にせよ、この三年間は何事にも代えられない貴重な経験を積ませていただきました。この経験を糧に今後、精進していきたいと思います。

 最後に、多々至らぬ点があったかと思いますが、若輩者の私を承け入れていただいた有馬先生と末永先生、そしてその他先生方と職員皆さまには、大変お世話になりました。

2.2021年度卒業論文優秀者による発表会報告

 2021年度の卒業論文優秀者発表会が、2月17日(木)13:00から文学部B251教室において去年と同じくハイブリッドで行われました。発表者は10分野から10人選出されました。参加者数は、出入りがありますのでおおよそですが、対面43人、オンライン47人でした。去年よりも多くの参加者があり、熱を帯びた会となりました。発表内容も、これでこそ文学部と胸を張れるものばかりで、普段、自分が聴くことのない分野の発表が聴けて非常に新鮮な刺激を受けました。今から来年の発表会が楽しみです。

 今回のメルマガでは、発表者の中から2人の卒業論文の要旨を紹介いたします。あわせて、指導教員からのコメントも紹介いたします。

○サンスクリット語における「根拠を表す第七格語尾」の解釈史
哲学・思想文化学コース(インド哲学・仏教学分野)中村理子

 私は、サンスクリット語における「根拠を表す第七格語尾」について研究しました。インドの伝統文法学において権威的地位にあるパーニニ文法学では、サンスクリット語の名詞語尾は第一格語尾から第七格語尾までの七つに分類されています。そして、そのうちの第七格語尾(saptam¯ı)が持つ機能の一つとして、「根拠(nimitta)を表示すること」が定められており、そのような機能を持つ第七格語尾は「根拠を表す第七格語尾」(nimittasaptam¯ı)と呼ばれます。
 
 文法家たちは、「根拠を表す第七格語尾」における「根拠」の意味と、この名詞語尾の適用条件について、二通りの解釈を示していますが、先行研究ではこのことは注意されていません。そこで、卒業研究では、この二通りの解釈の内容を明らかにすることを目的とし、紀元前 3 世紀頃から紀元 18 世紀頃までの文法家たちによる著作を読み、彼らの見解を通史的に考察しました。

 その結果、「根拠を表す第七格語尾」における「根拠」を、(1)「動機・結果」とする解釈と、(2)「原因一般」とする解釈の二つが存在することが明らかになりました。また、この名詞語尾の適用条件である、根拠と行為対象との間に存在する「関係」とは、(1)においては内属関係または結合関係、(2)においては関係一般であると考えられていることが明らかになりました。

 卒業後は、公務員として働くことになっています。就職後は、研究の過程で培ってきた、資料を丁寧に分析し、それを整理して自分の言葉で説明する力などを生かし、多くの方の役に立てるよう働きたいと考えています。

【指導教員コメント 川村悠人准教授】

 中村さんは、古代インドの言語であるサンスクリット語の構造に強い興味を抱き、卒業論文ではサンスクリット語が有する一つの特殊な用法について考察しています。

 サンスクリット語には八つの格があり、その中に場所格と呼ばれるものがあります。伝統文法では第七格と呼ばれます。この格は、行為が起こる何らかの場所を示すために使われるものですが、それに加えて、行為の原因、理由、根拠を示すためにも使われることがあります。この場所格の特殊用法が許される条件の詳細は、日本はおろか世界の学界でも十分に理解されていないものです。

 中村さんの卒業論文は、紀元前三世紀から紀元後一八世紀頃にわたるサンスクリット文法学文献の関連箇所を一つ一つ丁寧に読解し、この場所格の特殊用法に精緻な分析を加え、その実態を明らかにしたものです。極めて学術的価値の高い業績であり、近い将来、国際学会にて成果を英語で発表し、一流の海外学術誌に英語論文を投稿する計画を進めています。

発表する中村理子さん

○中世初期のユーラシア西部におけるヴァイキングの経済実践と交易ネットワーク
歴史学コース (西洋史学分野)岩本州矢

 中世初期経済史研究では、西欧カトリック世界内部の社会経済的発達に着目して分析が進められており、北海・バルト海交易に関しても英仏のローカルな交易活動の延長線上に置かれてきた。しかしながらここでは、西欧カトリック世界外部のプレイヤーからの影響に対する目線が不足していると言える。本論文ではヴァイキングを分析の対象とし、彼らが北海・バルト海を中心とする西ユーラシア世界全体に構築した「海域世界」や彼らの活動の実態を明らかにすることで、西欧世界外部のプレイヤーたる彼らが中世初期西欧経済に与えた影響を考察した。

 ヴァイキングは、従来の研究が示すような単なる蛮族、あるいは原始的商人だったのではない。教会史料に現れる彼らの暴力性は、ヴァイキング世界の「秩序」の一部に過ぎない。ヴァイキングは、周辺世界と対峙する他者として独自の世界を構築し、北大西洋から黒海・カスピ海に至る広大な空間をネットワークで繋ぎ止め、空間内の交流や財の流通を活性化させた。「ヴァイキングの秩序」は、西ユーラシア世界全体、ひいては西欧カトリック世界の経済的発達に大きな影響を与えた。

 自分の興味に従って、かなり大きな視点から分析を行った本論文だが、一次史料を扱えなかったことなどもあって独自の論を組み立てるには至らず、近年の研究動向を整理しただけのものに終わってしまった。大学院進学後は、広大だった地理的範囲・時期区分をより限定し、分析すべき一次史料を設定して、ヴァイキングの経済活動の影響をより具体的に考察したい。

【指導教員のコメント 足立 孝准教授】

 ヴァイキングは、北欧から到来する略奪者あるいは交易人といった具合に、それぞれ相反するイメージながら、いずれも大陸国家のまなざしからみてつねにその外部に位置づけられてきました。近年では、大陸国家に重きをおく従来の歴史観に対する反省から、海域史的なアプローチをつうじて既存の史資料の再解釈が進められることにより、ヴァイキングはもちろん、中世初期社会経済史研究そのものが大きく刷新されつつあります。

 岩本州矢さんの卒業論文「中世初期ユーラシア西部におけるヴァイキングの経済実践と交易ネットワーク」はまさしくそうした研究の潮流をふまえつつ、ヴァイキングを巨視的な視点から、陸海含む西ユーラシア規模の経済圏におけるきわめて重要なアクターとして捉え直そうとするたいへん意欲的な論考です。

 岩本さんは来年度より、本学人間社会科学研究科に進学することが決まっており、研究者としての第一歩を踏み出すにふさわしい、優れた卒業論文になったものと思われます。

発表する岩本州矢さん

3.公開研究発表講演会「日本語史研究の新しい視座 」開催報告 白井 純准教授【日本・中国文学語学コース(日本文学語学分野) 】

 去る2022年1月23日(日)に、広島大学日本語研究会主催の公開研究発表講演会「日本語史研究の新しい視座」をオンラインで開催しました。

 信州大学人文学部教授の山田健三先生をお招きしての講演会は「「仮名を見直す」と題し(資料1)、山田先生の表記史研究のエッセンスを分かりやすくお話しいただきました。昨今の日本語史分野では「(「男手」は漢字で)「女手」は平仮名をいう」「万葉仮名から草仮名が生まれ、そこから平仮名が発達した」のような素朴な通説は否定されるようになっていますが、その分野の研究を牽引するのが山田先生です。本公開研究発表講演会を主催した白井にとっては、広島大学に移る前の古巣である信州大学人文学部で14年間を同僚として過ごした仲でもあります。学術分野で大きな成果を出している研究者には独特の語り口があり、その人ならではの強い個性と信念があると思いますが、山田先生のご講演にもそうした「山田節」の雰囲気が濃厚に感じられ(資料2)、私自身といえば、信州松本の地を懐かしく思い出しておりました

 

資料1

資料2

 研究発表には、広島大学日本語史研究会の方々にもご参加いただきました。「平安時代における役割語としての子どもの言葉─語彙に着目して─」(石田芽衣さん(修士1年))、「日本における法華経読誦音の歴史的研究─天台宗を中心に─」(黒木裕梨香さん(修士1年))、「三巻本『色葉字類抄』前田家本における字音注加点法」(佐々木勇先生)です。何れも資料研究の醍醐味が感じられるものでしたが、本公開研究発表講演会のタイトルとした「新しい視座」が最もよく感じられたのは石田さんの発表だったと思います。まだ解決すべき課題もあると思いましたが、修士論文の完成が楽しみです。

 日本語研究会からは、「慶長15年版「倭玉篇」に関する研究」(王聿舟さん(修士1年))、「観智院本『類聚名義抄』の問題訓について」(林楚宜さん(博士1年))、「『落葉集』和訓の出典について」(白井純および劉成妤さん(修士1年))が発表し、午前10時から午後5時まで、延べ約40名の参加者のもと充実した研究発表講演会を開催できました。ご参加いただいた皆様に感謝申し上げます。

 また、本公開研究発表講演会のポスターには、真田宝物館(長野県長野市)の許可のもと、同館所蔵の美麗な奈良絵本「平家物語」を利用しました。ありがとうございました。

公開研究発表講演会のポスター

4.文学部ニュース

○令和4年度広島大学入学式について

学部新入生向け(※保護者の方は会場内へお入りいただけません。)
【日時】2022年4月3日(日) 11時開式(12時頃終了予定)
【場所】東広島運動公園体育館

大学院新入生向け(※保護者の方は会場内へお入りいただけません。)
【日時】2022年4月3日(日) 14時開式(15時頃終了予定)
【場所】広島大学サタケメモリアルホール

※ 詳細はこちらをご覧ください。

5.広報委員会より【広報委員会委員長 末永 高康】

 最近、岡潔の伝記を読みました。過度に研究に集中していたためでしょう、その消耗した精神状態が引き起こしたひとつの事件をきっかけに、広島大学の前身のひとつである広島文理科大学は彼を辞職に追いやっています。輸入学問の段階にあった戦前の大学が、彼の天才を見抜くことができなかったのは、やむを得ないことでもあったのでしょう。

 ひるがえって、現在の広島大学を思うとき、果たしてわれわれは彼のような天才を見抜き、育てるところにまで成長したのか。生涯に十本もの真に独創的な論文を書いた岡潔。現在では、論文十本しかもたない研究者して、単に数量的に評価が下されてしまうのかも知れません。いろいろと考えさせられました。

 まもなく、卒業式を終えた学生たちがキャンパスに戻ってきます。その時まで、この曇り空から雨が落ちてこないように、と念じながらこの編集後記を書いています。

 ご退職のごあいさつをお寄せくださった先生方、ありがとうございました。

 卒業・修了された学生のみなさま、退職、転職された教職員のみなさま方の新天地でのますますのご活躍をお祈りいたします。

 

 

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リテラ友の会・メールマガジン

オーナー:広島大学文学部長  友澤和夫
編集長:広報委員長  末永高康
発行:広報委員会

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