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【IR報告】本学学生のインタラクティブな学習経験が失われているのか?:全国学生調査を踏まえた学習経験の変化

 「全国学生調査」は、日本の大学生の学習経験に関する貴重な調査であり、文部科学省によって実施されています。この調査は、学生がどのように授業内容を理解し、自主学習に取り組んでいるか、また、教員やアシスタントからのサポートがどの程度提供されているかなど、学生の学習環境に関する多岐にわたる側面を検証することを目的としています(本学の過去の報告はこちら)。今回は、過去3回の同調査(令和元年、3年度、4年度実施)結果の一部を用い、全国の大学、国立大学、公立大学、私立大学、そして本学の学生の学習経験に関する結果の移り変わりを報告します。
 調査結果(下図「授業内容の意義や必要性を説明」)によれば、授業内容の意義や必要性を十分に説明してもらえたかについての学生の評価は、全体的に時間の経過とともにわずかに上昇しています。本学では、この点において他の大学よりもわずかに高い結果となっています。教員が授業の目的や重要性を明確に伝えることにより、学生の学習意欲を高められる可能性があります。本センターの以前の報告でも、授業内容の意義や必要性を説明することは、学生の学習の実感をより高くしうる要因として浮かび上がっていました(過去の報告)。
 


 予習や復習などの自主学習についての指示があったかに関する質問(上図「予習・復習などについて指示」)では、第2回と第3回の調査でのみデータが収集されました。この項目で、本学は、全体的にわずかながら改善が見られますが、他の大学全体の傾向と比較して大きな差は見られませんでした。また、教員以外にティーチング・アシスタント(TA)などが配置され、補助的な指導があったかについて(上図「アシスタントなど補助的な指導」)は、広島大学は他の大学よりも高い評価を受けています。これは、学生が学習においてサポートを受けるより多くのチャンネルを有していることを意味し、学習成果の向上に寄与している可能性があります。
 課題等の提出物に適切なコメントが付されて返却されたかについて(下図「提出物に適切なコメント」)は、全体的にどの大学グループも第1回から第3回にかけて改善が見られます。広島大学もこの傾向に沿っています。
 


 グループワークやディスカッションの機会(上図「グループワークやディスカッション」)については、広島大学のスコアは他の大学の傾向と比べて、やや特徴的に変動しています。特に、第3回調査での評価が低下しています。本調査結果から、その理由を明らかにすることはできませんが、学生間の対話や協働学習の機会について教員の意識を高め、学習体験を豊かにする必要があるかもしれません。コロナ禍以降、対面での授業が再開されていますが、本学では何らかの理由でグループワークやディスカッションを促す授業が再開されていないのかもしれません。教員から意見を求められるなどの質疑応答の機会(上図「教員との質疑応答の機会」)については、本学のスコアは他の大学グループと同様の傾向を見せています。
 今回の報告で、本学は、教員以外(TAなど)からのサポートにおいて高い評価を受けていますが、グループワークの機会の提供においては、改善が求められていることが示されました。これらの調査結果を踏まえ、学生の学習経験を向上させるための施策を検討し、本センターが実施する大学教員養成講座基礎に還元していくことで、本学の教育活動の質向上に貢献していきます。

 

【問い合わせ先】

教育学習支援センター

e-mail:capr@hiroshima-u.ac.jp
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