わが国の近代家畜生産は、食の洋風化にともなう肉や乳製品の消費拡大に対応し、飛躍的な大規模化と生産性の向上に成功した。しかしその一方で、環境との調和や家畜の福祉は軽視され、また食に対する消費者の信頼感も揺らぎ始めている。さらに経営者の高齢化と後継者不足により、地域社会の食を支える小規模農家の数は激減し、生産者と消費者を結ぶ地産地消の仕組みが失われつつある。また一部地域では野生動物との軋轢が増大し、農業生産活動の低下を招いている。
陸域生物圏部門では、中国山地から瀬戸内海までの陸域フィールドにおいて、 「ヒト」と「動物」との最適な関係の構築を図りつつ、消費者に信頼される安全な畜産物の供給を目的とする。特に、キャンパスに近接した西条フィールド(農場)を拠点として、食の安全性・環境の保全・家畜の福祉に配慮した21世紀型オルタナティブ・ファーミングによる持続的生産と地産地消の実現、動物を介在したフィールド教育の展開、家畜生産を含む農業生産活動と野生動物との共生を目指す。
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