G.ecboプログラム第2回年次総会実施報告



パネルディスカッションの様子

第2回グローバルインターンシップ推進拠点(G.ecbo)年次総会   実施報告





【日時】2009年2月4日(水)9:50-17:00

【場所】広島大学学士会館2階レセプションホール

【参加者数】64人 (招聘5人 学外1人 学内58人)



【プログラム】

<第一部>グローバルインターンシップ派遣学生活動報告



・複合融合分野海外インターンシップ参加者を代表して

  「フィリピンの水資源管理に関するインターンシップの経験」(フィリピン):難波 一宏(国際協力研究科)

・専門分野海外インターンシップ参加者を代表して

  「高雄長庚記念醫院でのインターンシップ」(台湾):高岡 勇輝(先端物質科学研究科)

  「常石重工業(THI)におけるインターンシップ」(フィリピン):

   a. Outfitting 部門における部材管理手法の提案:後藤 皓二(工学研究科)

   b. ブロック製造工程における作業遅れの分析:下反 貴裕(工学研究科)

・競争選抜参加型海外インターンシップ参加者を代表して

  「JICAガーナ事務所での私のインターンシップ経験」(ガーナ):Jeon HyeonJeong(国際協力研究科)

・国内インターンシップ参加者を代表して

  「サタケにおける国内インターンシップ経験」(日本):張 前(国際協力研究科)



<第二部>グローバルインターンシップ推進拠点シンポジウム



   テーマ『いかに現場での体験を「臨床の知」へと高めるか

        ‐インターンシップを契機とした大学院教育の新たな展開‐』



G.ecboプログラムの紹介と今年度の成果:

          広島大学G.ecboプログラム拠点委員長 藤原 章正 教授

話題提供「臨床の知とは何か‐心理臨床の場をヒントとして」:

          京都大学大学院教育学研究科 桑原 知子 教授

パネルディスカッション:

 モデレーター  広島大学大学院教育学研究科 岩崎 秀樹 教授

 コメンテーター 京都大学大学院教育学研究科 桑原 知子 教授

 パネリスト   東京海洋大学海洋科学部 川辺 みどり 准教授

          (財)マツダ財団 山根 英幸 常務理事

          広島大学大学院国際協力研究科 肥後 靖 教授

          広島大学大学院先端物質科学研究科 平田 大 教授

          広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程前期 山下 早紀子氏





【報告と成果】 

 本年次総会の第一部では、主に2008年度夏期に実施されたグローバルインターンシップの活動報告を行った。今年度は新たに3研究科が参画するとともに、国内企業やアフリカ、ヨーロッパへと派遣先も拡大されたが、こうした広範な地域で行われた多彩な活動の様子が、学生達によって発表された。会場から活動内容や今後へ向けての提言について様々な質問がなされたが、それらに対し物怖じせず応答する学生達の姿に現場体験で培われた技量や自信の一端を垣間見ることが出来た。

第二部では、本プログラムの核であるグローバルインターンシップでの活動を経験・体験のレベルに留めることなく、より学際的(transdisciplinary)、かつ高次な知見へと昇華し、その蓄積を促すような教育のあり方について「臨床の知」をキーワードにシンポジウムを開催した。

まず、「京大型臨床の知」GP代表の桑原知子教授は、心理臨床におけるご自身の体験を引用しつつ、対象との関わりや文脈(多義性)を重視した「臨床の知」によるものの捉えについて講演を行った。続いて岩崎秀樹教授の司会の下、本プログラム担当者と参加学生がそれぞれの立場から自らの実践とその省察を行った。また、川辺みどり准教授は、現場での体験を省察し蓄積する手法としてケースライティングの可能性について提言を行った。会場からは、「臨床の知」における因果律の捉え方や実際にケースを書く場合の事例分析の程度、描写可能な事象の範囲について質問がなされた。

インターンシップ前後の学生の変化は、多くの関係者の眼には明らかではあるものの、その変化の内実を捉え明確に指標化することは非常に困難である。本年次総会では、こうした一軒曖昧な変化の本質に触れ、その良さを伸張させる試みに対する発想の転換を促す良い機会になった。また、プログラム関係者のみならず、会場の参加者に対しても日々のものの捉えついて問題を投げ掛けるような会となり、個々の心の中に余韻を残すようなシンポジウムとなった。

本プログラムでは、今回の年次総会で得られた種々の示唆を参考に、より効果的な教育プログラムへの改善に向けて研修内容の検討を行っていく予定である。


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