ストレス班

ストレス班の概要

ストレス班では、イネのストレス耐性を向上させることを最終目的として、様々な生物材料(植物、動物、微生物)や手法を用いた分野横断型の研究体制を構築した。
 植物を用いたアプローチとしては、耐塩性を有するイネ在来品種の選抜を行い、イネが持つ新規な耐塩性機構の同定や耐塩性を制御する遺伝子座の探索を試みる。これにより、耐塩性イネ作出における育種母本の選定を目指す。また、耐塩性野生植物が持つ高度な耐塩性機構の解明や耐塩性に関わる遺伝子を用いた遺伝子組換えイネの作出を試みる。
 動物を用いたアプローチとしては、新種エビ類の同定やその生態を調べることで、陸上進出したが別の進化過程をたどった動物と植物の耐塩性機構の差異について考察を行う。微生物を用いたアプローチとしては、植物に接種することで植物の耐塩性を向上させうる微生物の探索を行い、菌種同定や機能解析を通して植物―微生物相互作用についての理解を深めるとともに、微生物資材を用いることで遺伝子組換え技術に頼らない植物の耐塩性向上技術の開発を試みる。
 作物生産の現場では害虫による植食被害が問題となっているが、過度な農薬使用に頼らない環境保全型農業技術の確立が重要である。殺虫剤に代わる害虫防除方法の確立のためには、害虫が寄主植物をどのようにして選択しているのか、その仕組みを理解することが重要である。植物から放出される化学成分は昆虫を誘引する主要因の一つである。害虫を誘引する植物性成分の同定やその作用機序を理解することで、殺虫剤に頼らない新規な害虫防除方法の創出を試みる。


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