平川 真

平川 真

講師
平川 真
MAKOTO HIRAKAWA

データから「こころ」について考える。

なぜ人は言葉に含まれない意味を理解できるのか

私は、コミュニケーションについて心理学的な研究をしています。たとえば、「この部屋暑いね」ということで「窓を開けて」という頼みごとをすることがあります。このような遠回しな頼み方では、発話それ自体には依頼の意味は含まれていませんが、多くの人は依頼の意味を理解することができます。なぜこのような言葉の使い方を人がするのか、なぜ言葉に含まれていない意味を理解することができるのかということを研究しています。

観察不可能な「心」をデータから推論する

心理学では、データという観察可能な情報から、心という観察不可能な対象について推論します。人間の複雑な行動について仮説をたて、実験や調査を行うことで仮説を検証したり、心理学的に解釈できる数理モデルを構築したりする作業は、とても面白いです。
私が行った研究を例に挙げましょう。「なぜ人が遠まわしな頼み方をするのか」という問いについては、一般的に「相手に配慮するため」と語られることが多いです。しかし、データをとっていくと、配慮による説明が成り立たないことがわかり、むしろ、「自分のことを大切に思っている人を見つけるため」と考えることがデータと整合的であることがわかりました。
もちろん、一つの研究によって明らかにできることは少ないですが、データをとることで、目に見えない「こころ」について腑に落ちる理解ができることが魅力です。

データから知識を得る方法論を学ぼう

データサイエンスコースは、統計学をベースにしたデータ解析に重きを置いたコースです。みなさんが興味のある現象について妥当な知識を得るためには、データを目的に応じて適切に分析できることが強力なスキルとなります。このスキルはいろんな現象に適用できて、私はそれを人間の心について理解するために用いている、ということに過ぎません。データから知識を得る一般的な方法論について学んでみませんか。


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