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大門匡・広島高等裁判所長官による講演会が開催されました

大門長官講演の光景

2019年7月3日(水)、法学会主催のもと、「法律学は面白い」と題して、大門匡・広島高等裁判所長官による講演会が行われました。

この講演は、主に1年次生を対象として、今後の本格的な法律学修に対してモチベーションを高めてもらい、あるいは将来の進路選択に役立ててもらうことを意図して、20年以上前から1年次配当科目「法学基礎」の1コマを利用して毎年実施されてきたものです。今回は東広島キャンパスでの講演のもようを東千田キャンパスにも同時中継し、「法学基礎」受講者以外の学生や教員をも含めて200名を超える来場者に聴講いただきました。

大門長官は、まず自己紹介の中で、主に民事・家事の裁判実務に携わってきたほか、大蔵省への出向、司法試験委員の就任、少年法改正や成年後見制度などの立法作業への関与などを経験されたことに触れ、裁判官も実に多様な仕事に携わることを説明されました。また、裁判所の職務について、女性が多く活躍していることを説明されました。

次に、法律を学ぶ目的として、リーガルマインドの醸成の重要性を説かれました。長官は、リーガルマインドとは多角的視点から社会的事象における問題の所在を把握・分析し、それに基づいて対立利益を考量・調整し、合理的解決を見出す思考態度であるとした上で、それを非嫡出子の法定相続分に関する違憲判断(最大決平成25年9月4日・民集67巻6号1320頁)を素材にして具体的に解説されました。そして、このようなリーガルマインドの醸成を意識しながら法律学修に取り組むことが、法律学を「面白い」と思えるようになる鍵であると述べられました。

さらに、リーガルマインドの醸成を念頭に法律学をどのように学ぶべきかについてもお話がありました。なるべく予習して授業に出ること、常に条文に立ち返ること、基本書や関係論文を読むこと、基礎法学や周辺諸科学を学ぶことの重要性を、長官ご自身の学生時代のエピソードなども交えながらざっくばらんに述べられ、学生に対して多くの有益なアドバイスをして頂きました。

最後に、学生からの質問の時間を設けて頂き、丁寧にお答えしてくださいました。

講演後に書いてもらった学生の感想には、この講演で何某かの得るものがあった旨を各人が記載しており、大変好評であったことが窺われます。今後の学修に生かされていくものと思われます。

大門長官には、ご多忙の中本講演会の趣旨をご理解いただき、入念なご準備の上で講演に臨んでくださいました。厚く御礼申し上げます。


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