平成22年度「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」

平成22年度「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」(人社系)マネジメント専攻から5名派遣

平成22年度「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」(人社系)で広島大学から海外に派遣された22名の大学院生のうち、マネジメント専攻の大学院生が5名参加した。その調査研究のテーマと概要は以下のとおり。

テーマ①「在中国日系企業における“異文化仲介人材”についての調査」

概要:日系企業で就業経験のある14人にインタビューを実施(1時間~3時間)。また、インタビュー以外にも、中日関係史副会長も表敬訪問し、今後、同学会が発行する学会誌への論文掲載についても、ご協力いただくことで同意を得てきた。昨年後半に、博士論文テーマをインターネットと公共圏に決めたため、昨年夏のフィールドワークは直接研究には反映できておりませんが、14名の方へのインタビューを通じて対日感情は社会の変化とともに移ろうため、人の意識だけを取り上げても深みのある研究になりにくいということを本フィールドワークを通じて気づきました。一方で、このとき14名以外の、インターネットに関する有識者2名からお話を伺っています。こちらは直接現在の研究テーマに結びついています。

テーマ②「中国人の沈黙に関する研究 ―中国人大学生への調査を通して―」(写真1、2)

概要:修士論文を執筆する上での調査として、2010年11月6日~11月12日の間、中国北京市にある北京外国語大学と天津市の天津大学を訪問し、学生寮など生活エリアで計200部調査票を配布・回収した。アンケート調査の有効回答数は、北京外国語大学67部(回収率:67%)と、天津大学77部(回収率:77%)である。そして、調査対象の平均年齢は22歳(最小年齢:18歳、最高年齢:30歳)である。男女の比率:6:4(男性86人、女性58人)である。そして、今回のアンケート調査を通して、中国人の“沈黙”に関する質的データを得ることができた。データを整理したところ、先行研究の視点と違う結果が入手でき、中国人の“沈黙”に対する見方を、質的に研究する一歩として、とても重要な成果が得られたと思われる。

テーマ③「中国市場における自動車のデザインマーケティングの実証研究」(写真3、4)

概要:中国市場における自動車のデザインマーケティングの実証研究のため、中国の東南大学(南京市)と上海理工大学において、日本の自動車市場の現状、研究の方法、調査概要を紹介した。その上で、学生へのアンケート調査及びインタビュー調査を実施した。その後、これらの結果を裏付ける中国市場のマーケティング活動の実態を取材し、実証分析に必要となる社会・文化的背景を踏まえた行動特性の参与観察を行った。

テーマ④「大手外資小売企業の中国市場における標準化-適応化の現地調査」(写真5、6)

概要:小売業の海外進出は90年代から始まっているが、近年にわたって、その戦略が大きく変わってきた。成長戦略として続けて進出するのもあるし、経営不振のせいで、撤退をせざるを得ないのもある。そこで、何が小売業の海外進出の成功を左右するのかを明らかにするため、中国で大いに発展する大手小売企業カルフールとウォルマートを中心に、それぞれ上海と北京において、店舗レベルの現地調査を行った。また、14年間上海に滞在し、中国小売業の発展に詳しいスーパー関係者である日本人社長、又、北京における小売専門誌の出版社の社長や伊藤洋華堂の幹部にもインタビューを行った。

テーマ⑤「日系コンビニエンス・ストアの中国市場進出について」(写真5、6)

概要:近年、日系コンビニ各社は経済の発展が著しい中国の市場でとても活発化している。この特殊の小売業態はすでに日本人の生活に欠かせない存在であるが、小売市場が未熟の中国ではまだ始まったところにある。「日本流のコンビニモデル」は文化(特に食文化)や習慣が異なる中国でどうやって構築されるかを究明するため、北京と上海にある日系コンビニ各社の店舗を日本の店舗状況と比較しながら、実地調査した。その上で、本部の幹部に経営レベルの話についてインタビューを行った。また、中国小売業の現状がわかる上海に長年滞在しているスーパー関係者の日本人の社長と小売業雑誌の関係者にもインタビューを実施した。

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