<ドクターへの道>浅尾 隆司

浅尾 隆司

会計・経営情報分野
星野ゼミ
博士課程後期2014年度修了

博士課程への進学の動機

マネジメント専攻の博士課程に進学した動機は,非営利組織の社会的役割と会計情報のあり方について,実務を通して認識した問題点と課題をより明確にし,その解決策を見出すことにありました。

わが国の高齢者福祉は,事業主体の多様化および経済社会的な環境変化のなかで,多くの課題を背負っております。福祉事業に国庫補助金の交付は不可欠ですが,その国庫補助金の会計処理を中心に,わが国における非営利組織の役割について検討を行い,そこから導かれる非営利組織の会計について,自分なりの理論を確立したいと考えました。

マネジメント専攻に入学した動機

先輩の勧めもあったのですが,まず,社会人大学院であることが一番の要因となりました。

様々な専門的な知識・経歴を有する社会人の方々から色々な情報を得ることができるのではないかと考えました。実際,ゼミや講義では,有益なアドバイスや助言を多く頂くことができました。

また,会計分野の指導教官がとても柔軟に応対してくださったこと,さらに,副査の指導教官の存在は,学際的に研究を進めていくうえで非常に心強いものがありました。

マネジメント専攻で学ぶ魅力

マネジメント専攻の講義とゼミは,主に平日の夜間と土曜日に開講されていることもあり,比較的スムーズに仕事と研究を両立することができました。私の場合,主査の指導教官がかなり柔軟に対処してくださったこともあり,自己責任のもと,自由な環境のなかで継続的に「マネジメント」と「情報」という観点から研究をすることができました。

様々な専門性と経歴を有する社会人の方々がキャンパスに集い,ゼミや飲み会で議論をするなかで貴重なアドバイスやコメントを聞けることも魅力の一つです。学際的な見地とともに自己の論理性が育まれ,実際に実務に役立つことも多々ありました。その時間と場を共有することの楽しみと幸せを感じて頂けたらと思います。

出願を考えている方へのメッセージ

研究そのものは孤独で地味なもので,どうしても「独りよがり」になる時期もあろうかと思いますが,研究を継続していくには,やはり家族の理解と協力は不可欠でしょう。

ゼミや講義では,あまり自分だけの考えに固執せず,相手が何を言おうとしているのか,どうすれば自分の考えをわかりやすく説明できるのかということを心掛ける方が,案外,問題解決の早道になるように思います。

先行研究のレビューは基本的なことであり,その作業を何度も繰り返していくことで研究目的が明確になっていくのですが,正直,楽なことではありません。それでも,新しい考えが閃いた瞬間は,何とも言えない快感があります。それが研究することの醍醐味でもあり,楽しいところでもあります。

緻密な研究作業の継続が,理論的な課題や問題点の解明につながり,研究の社会的貢献性とオリジナリティの確立につながるとしても,むしろ,学位の取得は通過点に過ぎず,そこで得られたネットワークそのものに価値があるようにも思います。他大学や研究機関の方との交流や広がりは,自分のライフワークとしての研究にフィードバックするという無形の財産になる喜びがあります。

学位取得までのプロセス

私は,途中で研究内容を変更したため,随分と回り道をしてしまいましたが,結果的には,そのことも無駄にはならなかったように思います。途中,幾度となく挫けそうになりましたが,主査の指導教官に何度も何度も励まされました。

思い返せば,諦めずにゼミでの発表を続けていくことで,誰彼となく援助の手を差し伸べてくれ,そのことが結果につながっていったように思います。ゼミでの発表を繰り返すうちに,自分の研究の軸足も明確になっていきました。

ゼミの発表と並行して,論文のファイル管理も大切です。各章のファイルを作成するとともに,論文全体のファイルも作成しなければなりません。修正はまず章単位で行い,次に論文全体のファイルに修正部分を差し替えた後,各章との整合性を確認する作業を何度も何度も行わなければなりませんが,この作業が不十分だと,予備審査の段階で非常に煩雑な作業に時間を取られることになります。

また,予備審査から最終試験まで,主査の指導教官と副査の指導教官のもと,加筆と修正を丹念に行わなければなりませんが,この期間は,論文作成において一番ハードな時ではないかと思います。学会での報告など,最も自己管理が必要であり,それとともに仕事のスケジュール調整も入念にしなければなりません。

皆さんのご健闘をお祈りいたします。


up