<ドクターへの道>影田 康隆

影田 康隆

地域・交流分野
戸田ゼミ
博士課程後期2010年度修了

博士課程への進学の動機

以前の職場の同僚や,大学時代の先輩,後輩の何人かが博士号を取得した話などを聞くうち,次第に学位が身近なものに感じられ,興味を持つようになりました。そして,公務員として9年の実務を経験したところで,当マネジメント専攻博士後期課程に入学しました。最初は,学位の取得そのものが目的であったかもしれません。しかし,職務を通じて感じてきた問題について,これまでの経験から得られた,解決のための思考のプロセスや経験則が,学術的な理論に基づいてどのように説明できるのか,また,どの程度通用するのかを試すチャンスと思い入学を決意しました。

マネジメント専攻に入学した動機

学位取得のため,いくつかの大学や学科を調べていたところ,広島大学のマネジメント専攻の存在を知りました。しかし“マネジメント専攻”は私には初めて聞く専攻名で,内容のイメージがわきませんでした。そこで,本専攻のパンフレットや入学案内を何度も読み返した記憶があります。最も参考となったのが,専任教員の紹介欄です。諸先生方の自己紹介から,担当する分野や科目などを確認するうち,私の研究関心に専門領域が合致した教員とそのゼミナールに目が留まりました。たまたま,その教員は以前より存じあげていたこともあり,是非このゼミナールの門をたたきたいと思った次第です。またその頃,社会の多様化や職場を取り巻く環境変化が進み,課や部としての専門性の継承はもとより,そうした枠を超えた,広い視野と見識,そしてきめ細かいアカウンタビリティが求められていました。どちらかといえば専門分野に特化した職務にある私にとって,本専攻とゼミナールの目指す研究アプローチは,当時の私にとって大きな魅力であり,職務上においても大変参考になると確信したのです。

マネジメント専攻で学ぶ魅力

本学には様々な職種や職位,年代の方々が在籍されています。また,各種セミナーや学会の開催などを通じて多くの人の出入りがあり,地域にも開放的なイメージがあるように思います。これは,多方面からのアクセス性に優位な都市の中心地にあることや,図書館や自習室等の施設が整っているなど,夜間や週末に学ぶ環境に優れていることがその要因としてあげられるかもしれません。私もこうした施設を大いに活用させていただきました。

また,本専攻では,自らの実務的な背景や社会現象など,誰にとっても身近なテーマを設定できます。さらに,それを指導する専任教員の専門領域が会計・経営情報,地域計画・都市政策,組織・経営,等,非常に多岐にわたります。つまり,このような多種多様な学生と教員が,あらゆるテーマを題材にみんなで議論し,それによって,また新たな着想が生まれていく可能性があり,とても刺激的であると思います。

出願を考えている方へのメッセージ

進学の動機は人によって様々。動機が何であれ,継続して学ぶには当然,職場や家庭など周りの理解と協力が不可欠です。また,多くの方が仕事と大学院を両立されるのではないかと思いますが,それらのことも含めてご自身のあらゆるマネジメント能力が試されると言ってもよいでしょう。

私自身も,ほぼ毎週のゼミナールでの報告や国内外での学会の発表や討論,海外研修,そして博士論文の作成など,本当に貴重な経験をさせていただきました。卒業した現在も,多くの場面でこうした経験が確実に活かされているような気がします。

志のある方は,この場に飛び込んで,自らアクションし,おおいに振る舞って欲しいと思います。そうすれば何かが起きます。その場ではいつもうまくいかないかもしれないし,反省点も見つかるでしょう。しかし意外なところで“道しるべ”がみつかるはずです。是非,多くの方にこの場を利用して感じてほしいと思います。

学位取得までのプロセス

学位取得までのプロセスを振り返ると,私が最も苦労し,かつ時間を費やしたと思うのは,草稿論文と予備審査論文の作成の段階です。各章のパーツは概ね作成したつもりでも,それらが論文としてきちんとつながりを持つよう組み合わせる必要があります。各章をつなげては,内容の重複部分を省き,また,場合によっては,各章をつなぐためにどうしても必要な補足部分を大々的に補う,そのため,さらに追加的に文献等のリサーチといった作業などを繰り返したので,一連の流れでまとめることに想定以上に時間を要しました。また,指導教員と副指導教員2名による論文作成のきめ細かい指導により内容の充実を図る必要があるため,指導に対する加筆・修正の作業やそれらのスケジュール管理と調整がとても重要です。結局,この草稿論文作成の提出期限から予備審査論文の提出までの数か月の間に,作業がどうしても集中するため,この時期は仕事を終えるとすぐに大学の自習室に行き,夕方から夜間にかけて多くの時間を自習室にこもって執筆作業をしました。

また,学会での査読に時間を要することも念頭に置く必要があります。私が在籍した学会の多くは,査読論文の投稿から最終審査まで,1年もしくはそれ以上に時間を要しました。そのため,学位取得のプロセスにおいて,学会での報告と投稿の時間管理には特に留意する必要があるでしょう。論文を構成する異なるパートについて,いつ,どの部分を,どの学会に報告し投稿できるのか,早い段階で構想をまとめておくのがよいでしょう。


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