<ドクターへの道>中川 洋子

中川 洋子

組織・経営分野
原口ゼミ
博士課程後期2011年度修了

博士課程への進学の動機

現職の教育職員であることから、学位取得を主目的に博士課程に進学を決めました。ただ、現職教員であるからこそ、単に学位を取得できれば良いというのではなく、じっくりと時間をかけて「これを生涯の研究テーマにしたい」と確信できるものを見つけたいとも思っていました。

また、マネジメント専攻の修士課程での学びが、これまでの学びと比べて、「○○を学ぶと△△に有益である」というような道具的な学びではなく、「○○を学ぶこと自体が楽しい」と感じられるものでしたので、博士課程に進学すること自体を楽しみとして捉えられたと思います。

マネジメント専攻に入学した動機

仕事と研究との「効率的・効果的」な両立が可能な社会人大学であったことが、マネジメント専攻を選んだ最初の動機です。加えて、今、振り返ってみれば、ゼミナールを集中的に土曜日に開講いただけたことが、研究全体の推進のために大変良かったと思っています。ゼミナールでは、指導教官はもちろん、社会経験豊富なゼミメンバーから有益なご指摘をいただけ、この機会が、研究内容をブラッシュアップするとともに、スケジュール管理のためのメルクマールにもなりました。特に、みなさんお忙しい中、時間のやりくりをして研究をすすめ報告されているので、より「一緒に頑張っている」気持ちになれました。このような、社会人同士がともに学びあえる環境であることもマネジメント専攻に入学した動機です。

マネジメント専攻で学ぶ魅力

マネジメント専攻では、主査の先生の専門分野からのご指導に加えて、多様なバックグラウンドをお持ちの他の先生方からもご指導いただけますので、学際的な研究を進めやすい環境だと思います。私も、指導教員の許可を得て、複数のゼミに参加し報告させていただく機会を得ました。

また、私は「大学生のキャリア教育」というテーマで研究していたのですが、マネジメント専攻で学んでいたからこそ、従来型の「教育学」からのアプローチではなく、「どのようなキャリアサービスを学生に提供すべきか」という「マネジメント」の視点を持ったキャリアデリバリー論から研究テーマに取り組むことができ、本専攻ならではの研究ができたと感謝しております。

出願を考えている方へのメッセージ

有職者の方は、「仕事」と「研究」の両立に不安を感じられているかもしれません。確かに、スケジュール管理の難しさはありますが、マネジメント専攻での学びは、「理論」と「実践」を往来することで進められますので、「学ぶ目的が明確であれば」、負担よりも楽しみとして頑張れると思います。

ただ、博士課程への進学には、博士号取得が、必ずしもアカデミックポストにつながるわけではないという現実的な課題もあります。ですので、現職と研究領域との関連性を踏まえた長期的なキャリアの見通しを立て、「今、なぜ、博士課程で学ぶのか」を自分の中で整理して出願することが、入学後の学習意欲に関係すると思います。

勿論、純粋に学問的な関心で出願するのも、豊かな学習機会になると思います。

学位取得までのプロセス

学位取得プロセスを振り返って、どこか「特定のプロセス」というより、これまでの個々の研究をまとめて、「研究のオリジナリティをどのような道筋で示すのか」という論文構成を考えることにもっとも苦労しました。このオリジナリティを示すためには、「研究の理論(学術)的貢献と実践的貢献」を明らかにする必要があります。私も含めて、社会人院生は、「実践的貢献」が明確な現実的な課題解決を研究テーマに設定することが多いと思いますので、先行研究レビューを行い自分の研究の位置づけを考える「理論(学術)的貢献」を明確にすることに多くの時間を要すると思います。もし、これらが不十分なまま調査や研究を進めてしまうと、何本かの論文は書けても、「どこが幹の細い枝葉だけの研究」になってしまう恐れがあります。

私は、博士論文草稿の段階で、上記の点に不十分さを感じ、先行研究レビューをやり直しました。結果的には、理論的な位置づけは変わらず、時間を要しただけになりましが、もう一度、自分の研究の軸足を確認できたことで、その後の予備審査や口頭試問等に自信を持って望むことができました。


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