下記の通り生命科学セミナーが開催されますので、教員・院生・学生を問わず、多数ご参加下さい。
記
日時: 平成18年 8 月 2 日(水) 15:30〜16:30
(いつもと時間が違います)
場所: 広島大学 総合科学部 J306教室
演題: 神経内分泌学の革新
演者: 川 戸 佳 氏
(東京大学 大学院総合文化研究科 教授)
《 講演要旨 》
神経内分泌学では、ステロイドホルモンは、卵巣・精巣・副腎皮質などの内分泌器官で合成され、脳に到達して神経作用を発揮すると信じられている。男性・女性ホルモンは視床下部に作用して「視床下部−脳下垂体−性腺 軸」で生殖を制御する。副腎皮質ホルモンは「視床下部−脳下垂体−副腎 軸」でストレス作用などを制御する、と信じられている。一方、我々の研究も含めて、近年の研究で、脳も独自にステロイドホルモン(neurosteroid)を合成することが明らかになってきた。海馬・視床下部・小脳など脳にはステロイド合成系があり、男性・女性ホルモンを合成している。雄・雌にかかわらず合成される脳の男性・女性ホルモンは、精巣・卵巣で合成される性ホルモンと作用が大きく異なるが、脳で神経伝達・神経可塑性に如何に働いているかは、良く知られていない。
このセミナーでは、記憶中枢の海馬での、神経伝達や神経シナプスを調べることにより、女性ホルモンの記憶過程への顕著な効果を論じる(女性ホルモンは男性脳に、より強く効く?)。更年期で発症するアルツハイマー病になぜ女性ホルモンが治癒効果があるか?の説明を試みる。またストレスホルモンによってなぜ物覚えが悪くなるか?も論じる。更にここ10年来社会をにぎわした環境ホルモン(擬似女性ホルモン)の海馬記憶への作用についても、何が本当に起こっているのかを話します。
責任者 山﨑 岳 (内線 6527)
主催者 清水典明 (内線 6528)
(注)生命科学共同セミナーを受講する生物圏科学研究科の院生は、特に積極的に参加してください。
(注)このセミナーは4研究科共同セミナーの一環として開催されます。
(注)このセミナーは総合科学演習または研究演習の一部として認められています。