基盤研究班の概要
基盤研究班では、主に植物の成長制御、環境応答制御、光合成制御に関する研究から有用な遺伝子を同定し、成長制御メカニズムを解明します。各研究班では、「植物ホルモンを応用した成長制御システムの開発」、「転写制御因子による植物の成長調節」、「光合成効率上昇技術の開発」、「根毛形成についての分子生物学的および細胞生物学的研究」、「作物遺伝子新規理論の解明」、「森林生態系の炭素循環と生物多様性保全」、「植物の信号伝達の改変」といった研究課題に取り組み、植物の成長制御、環境応答などの基礎研究の成果をもとに、他の研究班との連携により有用植物の開発に貢献していきます。
植物は、発芽後、根、茎、葉を成長させ、地下部に展開した根より水、栄養分を吸収し、地上部では光合成により生命のエネルギー通貨であるATPを生産し、また炭酸固定により糖、デンプンなどを合成し光エネルギーを有機エネルギーへと変換します。また、発芽、栄養成長、加齢、生殖成長、種子形成といった植物の生活環の制御には、複数の植物ホルモンによる精密な制御がなされています。さらに、屋外で生活する植物において環境変化に対する応答制御は、植物が様々な環境で生き抜くために欠かせません。基盤研究班では、植物の光や環境変化に対する植物の柔軟な成長制御機構を植物ホルモン、転写制御、根毛形成の制御、光合成効率、光環境改善、森林生態系の炭素循環などをキーワードとして、様々な角度から植物の成長制御機構、環境応答機構を明らかにしていきます。また、貧栄養やストレス耐性、多収、高光合成能など複数の優良形質を併せもつ品種の育成技術の開発を目指します。新品種育成は通常長時間を必要としますが、これを加速する「作物遺伝子新規理論の解明」による新しい育種法の開発を行ないます。
