広島大学法学部・法学会では,令和7年6月25日(水)10時より,東千田キャンパス慎思棟5階SENDA LABにおいて,在レオン日本国領事館 青山 健郎総領事による講演会「国際社会における日本メキシコ関係」を開催しました。

日本とメキシコとの交流は,大航海時代・スペインの興隆を背景として江戸幕府開府当初に始まり,近年では日系企業,主に自動車産業の進出による経済的な繋がりがあります。この間,明治維新後,日本が初めてアジア以外の国と平等条約を締結したのがメキシコであり,これ以降,経済的な連携を強めてきました。また同時に,日本からメキシコへの組織的な移民も行われ,メキシコで日系社会が形成され両国の友好関係の懸け橋となっていきました。こういった交流を背景として,第二次世界大戦において敗戦国となった日本に対して平和条約を締結することを国連総会に提案したのがメキシコでした。
こうした両国の交流の歴史を,参考となる図書の紹介も交えつつ丁寧に説明されたうえで,広島という地においては特に大きな意味を持つ「核兵器のない世界」への日本とメキシコそれぞれの立場,取組についてわかりやすく解説いただきました。

最後に,直近の大きな出来事であるイスラエルとイランの紛争や,日-米,メキシコ-米それぞれの関係性の違いからの「核兵器禁止」へのアプローチについての質疑がなされましたが,現実的な視点から関係国の考え方の解説と,我が国を取り巻く難しい状況を説明いただきました。
この講演会には,国際関係や安全保障に関心のある法学部1年生から大学院博士課程後期まで幅広い学生が参加し,日本とメキシコ両国のあまり知られていない歴史・関係を踏まえた最近の国際的な課題の解説を聴講することができ,たいへん興味深い講演となりました。
