令和8(2026)年8月24日から28日にかけて、法学部の集中講義「市民生活と消費者法」が開講されました。今年度も東京大学・東北大学名誉教授の河上正二先生を講師に迎え、東千田未来創生センターにて対面形式で実施されました 。
全15回にわたるこの講義では、契約の基本から最先端の消費者問題まで多角的な学びが提供されました。受講した学生たちにとって、日常生活に潜む法的な課題を体系的に理解する極めて貴重な5日間となりました。
本講義を受講した多くの学生が、消費者法を「自分たちに深く直結する極めて身近な法律」として再認識したと感想を寄せています。特に18歳への成人年齢引き下げに伴い、大学生自身が様々な契約を自らの責任で結ぶ機会が増えている現状があります。学生たちは、不意の消費者トラブルが決して他人事ではないという強い当事者意識を持つに至りました。単に保護される存在にとどまらず、自立した消費者として主体的に行動する重要性を学んだようです。
講義では、スマートフォンの普及やSNS広告に伴う現代的なトラブル(ダークパターン)についても言及がありました。丁度ダークパターンの規制強化についての報道があり、初回無料を謳いながら自動で定期購入に移行させるサブスク契約の罠など、巧妙化する事業者の販売戦略が具体例とともに紹介されました。受講生は、誰もが合理的判断を失い得る「消費者の脆弱性」について深く理解を深めました。デジタル空間を安全に生き抜くための、高い情報リテラシーの必要性を痛感したという声が多く聞かれました。
講義の大きな特徴は、衣服の大量廃棄問題や労働環境を扱う「ファッションと消費者法」など、教科書に留まらない幅広いアプローチでした。こんにゃくゼリーの窒息事故やカラーテレビの発火といった、歴史的かつ身近な事案から法制度の変遷を学ぶプロセスは学生に強いリアリティを与えました。単に安さや流行を追い求めるだけでなく、環境負荷や生産背景にも配慮する「グリーンコンシューマー」としての社会的責任に目を開かされた受講生も少なくありません。
受講生にとって、クーリング・オフ制度や消費者ホットライン「188(いやや)」の具体的な仕組みを学んだことは、実践的な大きな収穫となりました。トラブルに直面した際に「泣き寝入りせず、適切な窓口へためらわずに相談する」という具体的な対処法が、自分や周囲を守る「強力な武器」として位置づけられました。交渉格差や情報格差が存在する現代社会において、身につけた法的知識をこれからの生活や周囲のサポートに役立てたいという前向きな意見が数多く寄せられました。
講義を担当された河上先生の、実体験を交えた優しく熱意あふれるお人柄や明快な語り口は、受講生から絶大な支持を集めました。法案作成に深く関わってこられた先生ならではのスケールの大きいエピソードは、難解になりがちな法律の条文に血を通わせ、学びの興味を駆り立てました。「これからの消費者法」を担う若き学生たちにとって、この集中講義で得た深い洞察と学びは、これからの人生における確かな道標となるはずです。

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