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【研究成果】脳の中で機能的に異なる神経回路を分離する仕組みを発見 −性フェロモン回路は厳密に分離される−

本研究成果のポイント

  • 交尾行動に関係する嗅覚系神経の樹状突起に、ある特定のタンパク質が強く発現していることを見出しました。
  • この樹状突起上のタンパク質は、隣の樹状突起に発現する別のタンパク質と結合することで樹状突起同士の反発を引き起こしていました。
  • 今回これらのタンパク質による樹状突起反発作用は、性フェロモン情報を伝える神経回路を他の匂い神経回路から厳密に分離するために必要であると考えられます。

概要

広島大学大学院理学研究科生物科学専攻の千原崇裕教授らの研究グループは、ショウジョウバエ嗅覚系を用いた研究により、軸索ガイダンス分子として有名なEph、Ephrinタンパク質が樹状突起にも作用することを発見しました。とりわけ性フェロモン情報を司る神経回路で強く発現したことから、その他の匂い神経回路から分離するためにこれらのタンパク質が必要であることを見出しました。

本研究は、東京大学大学院薬学系研究科(三浦正幸教授、大学院博士過程の安藏まりえさん、および当時研究員の関根清薫さん、当時大学院修士課程の牧原詩林さん、周健雄さん)との共同研究による成果です。

千原崇裕教授からのコメント

数ミリ程度の小さなハエは、生物研究のスーパースターです。今回は1万個以上のハエ脳を調べることで、脳神経回路の作り方が分かってきました。ここで明らかになった仕組みは、マウスやヒトでも使われている可能性が高いと考えられます。

本研究成果は大学院生達の頑張りの賜です。熱く議論し、困難な実験を成功させた学生達に感謝し敬意を表します。

千原 崇裕 教授

発表論文

本研究成果は、2017年6月22日、生物学を扱うアメリカの有力学術誌「Genes & Development」に掲載されました。

  • 論文タイトル:Dendritic Eph organizes dendrodendritic segregation in discrete olfactory map formation in Drosophila
  • 著者:Marie Anzo, Sayaka Sekine, Shirin Makihara, Kinhong Chao, Masayuki Miura and Takahiro Chihara*
    * Corresponding author (責任著者)
  • DOI番号:10.1101/gad.297424.117
【お問い合わせ先】

大学院理学研究科 生物学専攻 細胞生物学研究室
教授 千原崇裕

TEL:082-424-7443 FAX:082-424-0793
E-mail:tchihrara*hiroshima-u.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)


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