
英語教育のための国際英語論 - 英語の多様性と国際共通語の視点から -
柴田美紀 著
仲潔 著
藤原康弘 著
判型・ページ数:A5・208ページ
ISBN:9784469246421
出版年月日:2020/08/21
定価:(本体2,400円+税)
出版社:(株)大修館書店
紹介文
本書は、「国際共通語としての英語」について理解を深めるため、「社会」「個人」「異文化間コミュニケーション」「英語教育」の4つのキーワードに沿って、「英語」という言語を考えていきます。英語教師志望学生や現役教員を主な読者としていることから、章末には実践のヒントとして、授業での言語活動や課題などの例も掲載しています。英語が国際共通語となった背景、英語が社会にもたらす影響、世界で使われる英語の実情を知るうえで、英語教育に携わる人だけでなく、英語を学習する人たちにも読んでほしい一冊です。
目次
本書を読む前に
第1章 「国際共通語としての英語」の社会的意義
――人と人をつなぐ「ことば」の役割を考える
1 ことばの教育としての「英語」のモデル
2 多言語社会の中の国語・公用語
3 「国際共通語としての英語」の落とし穴
第2章 変わりゆく言語
――「言語」の多様性と「言語の機能」の多様性を探る
1 変化を常態とする言語
2 「言語」の捉え方
3 少数言語と言語権
4 言語の機能の多様性
第3章 英語の諸相
――世界に広がる英語を概観する
1 英語の3区分
2 多様な英語を捉える
3 「ネイティブ」対「ノンネイティブ」の(無)意味
4 マルチコンピテンスから考える言語使用者
第4章 アクセントと言語態度
――英語に対する偏見とその要因を考える
1 発話理解へホップ・ステップ・ジャンプ
2 アクセントと「アクセント」
3 「アクセント」から測定する言語態度
4 日本人大学生の言語態度に関する研究
5 言語態度はこうして生まれる
第5章 英語の多様性と共通性
――コーパスからみるWEとELF
1 WE コーパス
2 ELF コーパス
第6章 分からないからこそ対話力
――「円滑なコミュニケーション」の前提を問う
1 コミュニケーションは流れ作業?!
2 ことばだけではないコミュニケーション
3 助け合いで進むコミュニケーション
4 対話がもたらす相互理解
5 コミュニケーション能力観の変遷を辿る
6 国際共通語から考える対話力
第7章 対話としての英語コミュニケーション
――グローバル社会における「コミュニケーション」
1 文化とは
2 対話の重要性と関係性における能力
3 意味を構築する活動――デザイン
4 学校教育における能力観の変化
第8章 言語コミュニケーション力の評価
――WE、ELFの視点から考える
1 WEによる評価のアプローチ
2 ELFによる評価のアプローチ
3 態度の評価――世界における英語使用の理解と心得
4 学習指導要領との関わり
第9章 「国際共通語としての英語」の指導
――発想の転換を試みる
1 社会言語学からみた「国際共通語としての英語」の指導上の心構え――豊かな言語文化観を持った英語教師になるために
2 英語に丁寧語はない?!――自己と他者の関係性から考える言語運用
3 ELFにおけるコミュニケーション・ストラテジーの指導――さまざまな対話者とのやりとりのために
第10章 グローバル人材の言語力
――多様化する社会が求める「ことば」の様相を考える
1 英語科教育の反グローバル性――「グローバル」と「英語」への思い込みを問い直そう
2 グローバル社会におけるコミュニケーションとは――具体的な状況から考えよう
3 多言語・多文化社会での批判的内省力――言語力に気づく
おわりに
参考文献
索引
執筆者一覧