ミスコミュニケーション ―言語学徒 英語学徒が語る
広島大学大学院総合科学研究科 編
吉田 光演、山田 純 責任編集
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判型: B6判 |
ページ: 165ページ | |
ISBN: 978-4-621-08908-8 | |
発行年月: 2015-01 | |
価格: 1,900円+税 | |
出版社: 丸善出版(株) |
出版社による内容紹介
コミュニケーションには、ミスコミという事態が避けがたく存在する。なぜなら、コミュニケーションの成立には、言語的な知識だけでなく、文化に対する一般知識や、比喩を使い、理解する能力、あるいは他社の視点を通して事態を把握するといった、さまざまな能力がかかわっているからである。いうなればミスコミとは、コミュニケーションというすぐれて人間的な営みの証ともいえるだろう。ミスコミはなぜ、どのように起きてしまうのか。本書では、認知言語学・理論言語学・心理言語学、英語学、第二言語習得論の専門家が、ミスコミの複合的な原因を探るとともに、ミスコミ研究の展望を提示する。コミュニケーションが交差、複雑化する現代日本の教養人のための必読書。
目次
序章 | ミスコミュニケーションの原因と対応 |
笑いをさそうミスコミ | |
命にかかわるミスコミ | |
原発事故拡大の一因 | |
専門家とマスメディア | |
言語学徒、英語学徒が語る | |
第1章 | ことばの意味と認知 |
リンゴの落下とコミュニケーション研究 | |
知っているけれど知らない | |
人間らしさ | |
ロボットとのコミュニケーション | |
心の中が覗かれる | |
何が動いているのか | |
カンガルー=わからない? | |
子どもの不思議 | |
1+1=2か? | |
目玉を焼いて食べる | |
やかんは食べられるか | |
ことばの好き嫌い | |
人間になれたらなあ | |
今日からニュートン | |
第2章 | 統語論から見た文法とミスコミュニケーション |
コミュニケーション力があれば、文法は無視してよいのか? | |
文法無視による誤解―日本語と外国語の場合 | |
コミュニケーションと言語 | |
文法における統語論の役割 | |
統語論と意味論の問題 | |
コミュニケーションにおける統語論の役割 | |
ミスコミュニケーションにつながる統語論と意味論の関連 | |
第3章 | 英語の語彙に隠された意味と形 |
英米で異なる語句、異なる意味 | |
古い意味、新しい意味 | |
名前のイメージ | |
英語の語彙はハイブリッド | |
単純化された語形と文法 | |
語形成のパターン | |
派 生 | |
複 合 | |
借 入 | |
意味変化の諸相 | |
本来の意味が大きく変わった例 | |
意味の向上、堕落 | |
メタファー(隠喩)の例 | |
通俗語源 | |
文化の差 | |
第4章 | 第二言語習得とコミュニケーション―学習者の誤りから考える |
コミュニケーション能力の定義 | |
言語獲得における「日本人だから」という理由づけ | |
母語習得と第二言語習得 | |
第二言語習得過程における文法的誤り | |
未完の文法知識ゆえのミスコミ | |
動詞形態素の類似による母語転移:進行形-ingと「ている」 | |
文構造に見る日英の相違 | |
文頭名詞句の落とし穴 | |
主題の母語転移 | |
英文和訳と文法説明の功罪 | |
外国語でのミスコミをふせぐために | |
終章 | 学際研究と展開 |
言語レベル間の相互作用 | |
心の理論 心を読む |