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【研究成果】農研機構と広島大学大学院総合科学研究科のヴィレヌーヴ 真澄美准教授らの研究グループがグルテン不使用の100%米粉パンの製造技術を開発しました-小麦アレルギーへの対応と米の消費拡大に貢献-

本研究成果のポイント

  • 米粉、水、ドライイースト、砂糖、食塩、油脂(バター等)のみで、グルテン(1)や増粘剤(2)を使わずに米粉パンを製造する技術を開発しました。
  • 市販の米粉を使って一般的なホームベーカリーやオーブンで作製可能です。
  • 小麦アレルギーへの対応や、米の消費拡大に貢献すると期待されます。

概要

  1. 市販されている米粉パンの多くは、パンを膨らませるため小麦グルテンが添加されており、小麦アレルギーの方は食べられませんでした。また、これまで大手で製造されているグルテン不使用の米粉パンは、増粘剤やデンプンを加えて膨らみやすくしたり、特別な製造機器を必要としたりするものがほとんどでした。今回、農研機構食品研究部門と広島大学は共同で、市販のオーブンで、補助材料を使用しなくても基本原料だけでよく膨らむ100%米粉*パン(グルテン不使用)を製造する技術を開発しました。
    *:水、イースト、砂糖、食塩、油脂を除く主原料が米粉100%です。
     
  2. 原料にデンプンの損傷度(3)が低い米粉を選択すること、および発酵・焼成の工程を工夫することにより、比容積(4)が4以上(グルテンを添加したパンと同等)の十分な膨らみをもつ米粉パンの作製に成功しました。詳細な情報は、特許実施利用許諾により共同研究者に提供します。
     
  3. 農研機構は今後、この100%米粉パンについて品質改善や商品化など、海外展開を含めた実用化研究を進めます。
     
  4. 本技術により作られる100%米粉パンは、小麦アレルギーやセリアック病5)に悩む方にとって朗報になるとともに、お米のおいしさを活かした新しいパンを提供することで、米の消費拡大に貢献すると期待されます。

論文情報

スイスの食品科学誌『LWT- Food Science and Technology』に1月26日にオンライン上で掲載されました。

  • 著者:Yano H, Fukui A, Kajiwara K, Kobayashi I, Yoza K, Satake A, Villeneuve M (2017) 
  • 論題:Development of gluten-free rice bread: Pickering stabilization as a possible batter-swelling mechanism.(グルテンフリー米粉パンの開発:生地が膨らむメカニズムはピッカリング安定化と推定される) 
  • DOI:10.1016/j.lwt.2016.11.086
     

用語の解説

(1)グルテン
小麦、ライ麦など、穀物の胚乳で生成されるタンパク質。その粘り気で、パン酵母が出す発酵ガスを閉じこめるため小麦パンが膨らみます。一方、小麦アレルギーやセリアック病の主要因です。

(2)増粘剤
食品(飲料も含む)に粘性や接着性をもたせるための食品添加物。食品に添加されるものには、動物性のもの(ゼラチン等)と植物性のもの(多糖類やセルロースの誘導体等)とがあります。

(3)デンプンの損傷度
米粒から米粉を製造する際、粉砕中に発生する熱や衝撃等により粒構造に損傷を受けたデンプンのデンプン全体に占める割合。グルテンや増粘剤を添加した米粉パンでは、一般的にデンプンの損傷度が低い米粉を使用した際に比容積が高まる傾向にあることが知られています。

(4)比容積
パンの重量当りの容積(mL/g)。パンの膨らみを示す代表的な指標のひとつです。

お問い合わせ先

広島大学 社会産学連携室広報部 広報グループ

TEL:082-424-6131
E-mail:koho*office.hiroshima-u.ac.jp(注:*は半角@に置き換えてください。)

研究内容に関するお問い合わせは、こちら(農研機構ウェブサイトへ移動します)


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