本研究成果のポイント
〇メタ分析より332本の自動車LCAに関する論文をレビューした。
〇ガソリン・ディーゼル自動車、ハイブリット自動車、電気自動車、燃料電池自動車のライフサイクルCO2排出量結果を比較し、その特徴を把握した。
〇自動車ライフサイクルのグローバル化、新しい自動車関連技術の社会普及、途上国の自動車走行時環境問題、電気自動車のバッテリー劣化の4つ視点から、自動車LCA研究の現状や課題を明らかにした。
〇「自動車関連技術の環境影響評価」から「持続可能な社会システムのデザイン」のための自動車LCAの方向性が示された。
概 要
持続可能な社会の構築に向けて、自動車のライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment: LCA)の重要性が高まっている。自動車LCAの高度化には、自動車ライフサイクルのグローバル化(グローバル化)、新しい自動車関連技術の社会普及(技術の社会普及)、途上国における自動車走行時環境問題(途上国問題)、電気自動車のバッテリー劣化(バッテリー劣化)、が重要な検討材料となっている。本研究は自動車LCA研究をメタ分析アプローチにより包括的にレビューした。本研究で使用したメタ分析アプローチでは、 332本の査読付き自動車LCA論文にクロス集計分析と統計分析が適用された。本研究のレビュー結果は、ガソリン・ディーゼル自動車、ハイブリット自動車、電気自動車、燃料電池自動車のライフサイクルCO2排出量の統計的比較から電気自動車の環境影響評価結果の高い不確実性を把握した。グローバル化、技術の社会普及、途上国問題、バッテリー劣化の4つ視点から、自動車LCA研究の現状と課題を明らかにした。そして、「自動車関連技術の環境影響評価」から「持続可能な社会システムのデザイン」のためのコミュニケーション・ツールとしての自動車LCA研究の方向性が示された。
出典:H. Oda, H. Noguchi, M. Fuse, Review of life cycle assessment for automobiles: A meta-analysis-based approach, Renewable and Sustainable Energy Reviews, 159:112214, 2022.