第97回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第90回広大ACEセミナー)を開催しました

日時:2021年11月18日(木)16:20~17:50
会場:広島大学東広島キャンパス工学部110講義室

プログラム

司会・解説:広島大学大学院先進理工系科学研究科 教授 松村 幸彦

 

 

講演:広島大学大学院先進理工系科学研究科 博士課程前期1年 菅沼 有維斗
「鶏糞からの水熱アンモニア生成の速度論的解析」

家畜排泄物などのバイオマスをエネルギー利用するケースが増えています。家畜排泄物は、大気汚染や水質汚染の問題を引き起こします。適切に処理し有効活用するために、メタン発酵技術が用いられています。メタン発酵では、バイオマス中の窒素成分がアンモニウムイオンを形成し、反応を阻害してしまいます。そこで、メタン発酵の前に水熱処理で窒素成分をアンモニウムイオンに変換し、回収することに成功しました。そして、鶏糞中の窒素成分の反応速度を調べました。

 

 

講演:広島大学大学院統合生命科学研究科 博士課程前期2年 脇 滉
「メタン発酵プロセスにおけるアンモニア回収法の検討」

鶏糞などの窒素分を多く含む廃棄物をメタン発酵によって利用するとき、有機窒素がアンモニアに分解され、蓄積したアンモニアはメタン発酵を阻害します。そこで本研究では、アンモニア吸着材であるリン酸ジルコニウムを用いて、発酵槽内のアンモニアを除去するアンモニア回収型メタン発酵技術を開発しています。この技術によって、メタン発酵の阻害が起こらない程度で発酵槽内アンモニア濃度を維持することが可能でありました。

 

 

講演:広島大学大学院先進理工系科学研究科 博士課程後期1年  Rittanupap THAVORN
「セルロース、リグニン、キシロースとそれらの混合物の水熱炭化における組成からの収量の予測可能性を確認するための比較検討」

水熱技術は高効率のバイオマス変換技術として注目されていますが、水熱炭化条件下で複数の原料の反応挙動を予測する普遍的なモデルは存在しません。そこで本研究ではセルロース、リグニン、キシロースとそれらの混合物を水熱炭化し収量を比較することで、反応のメカニズムを理解し組成からの収量予測を行うことを目的とします。実験では、各原料の水熱炭化を200~280℃で複数回試行しました。その結果、混合物においては温度の上昇に伴って固体生成物の質量収率が32.9%から22.7%まで減少する傾向にあることがわかり、収量予測値との誤差は15.78%でした。

 

 

講演:広島大学大学院先進理工系科学研究科 博士課程後期1年  Ali Mohammed Ahmed MOHAMMED
「バイオマスガス化触媒として使用される超臨界水中でのカーボンナノチューブの安定性」

炭素質触媒の中で、カーボンナノチューブ(CNT)は可能なバイオマス触媒または触媒担体であり、ナノカーボンはそのナノ構造と高い比表面積を達成できるため、より効果的であるはずです。ただし、超臨界水(SCW)での挙動と特性を調査した研究はありません。私たちの研究で利用可能なカーボンナノチューブは水性であり、界面活性剤を含みます。このCNTと濃度(0.019 wt%)の界面活性剤の元の材料は、600℃、25 MPaの超臨界水に適用され、滞留時間は50〜94秒の範囲で変化します。結果によると、これらの界面活性剤はSCW条件で分解し、CNTガス化の理解を妨げる望ましくない含有量と見なされました。界面活性剤は、固定された充填層に閉じ込められた乾燥した元の材料に熱圧縮水を適用することによって完全に除去されます。得られた純粋なCNTをSCW条件で適用し、121 mgの純粋なCNTを充填層に入れ、600〜700℃の範囲で温度を変化させながら25MPaで水を送ります。炭素ガス化効率(CGE)は、600℃で5時間運転で0.0012でしたが、700℃で40倍に増加して0.05になりました。ラマン分光分析によると、D / G比は600〜650℃で1.20前後で一定に保たれ、700℃で1.34に上昇し、高温で欠陥が発生したことを示しています。

 

 

【お問合せ先】

広島大学大学院先進理工系科学研究科機械工学プログラム内
中国地域バイオマス利用研究会
TEL : 082-424-5762 
FAX:082-422-7193 
E-mail : bprc * hiroshima-u.ac.jp (注: *は半角@に置き換えてください)


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