広島大学大学院先進理工系科学研究科 熱工学研究室内
中国地域バイオマス利用研究会
TEL : 082-424-5762
FAX:082-422-7193
E-mail : bprc * hiroshima-u.ac.jp (注:*は半角@に置き換えてください)
日時:2024年4月18日
プログラム
解説:広島大学大学院先進理工系科学研究科 教授 松村 幸彦
講演 NPO法人農都会議事務局長、バイオマスアカデミー幹事 山本 登
「木質バイオマス熱利用の現状分析と、日本としてどうすべきかの提案」
要旨:バイオマス熱利用は、日本の再生可能エネルギー戦略の重要な要素です。ゼロカーボン政策と連携し、エネルギー需要の約50%を占める熱源としての潜在力を持つ。しかし、欧米と比較して日本ではバイオマス熱利用が主流ではなく、技術的な遅れが見られる。木質バイオマスの安定した価格と信頼性の高い技術、地域経済への貢献、環境保護への効果は大きいが、日本のバイオマス熱利用に対する知識レベルの低さ、日本と外国先進国(欧州、中国、韓国)との住宅建設基準・エネルギー基準の違いが拡大の障害となっている。一方で、日本独特のバイオマス熱利用の拡大なども見られる。農都会議・バイオマスアカデミーの設立は、知識普及、技術レベルの向上、国産化、技術者教育活動を通じて、この分野の発展を目指している点についても紹介します。
講演 バイオマスアカデミー幹事 山本 登(黒坂事務所代表 黒坂俊雄様代理)
「木質バイオマス熱利用の意義と普及拡大の技術的なボトルネック」
要旨:再エネ熱利用に関して、欧州ではバイオマスが大きな割合を占めるのに対して、日本ではバイオマス熱利用は非常に少ない状況です。日本でも木質バイオマス燃料は発電に活用されていますが、発電効率は25%程度と低いです。ベース電源として木質バイオマス発電は意義を持ってはいますが、電力が最も不足するのは冬場の暖房・給湯ニーズへの対応です。低効率のバイオマス発電の電力で高効率ヒートポンプを駆動して熱需要対応するよりも、簡易で小規模分散のバイオマスボイラー熱利用の方に、効率面でも、経済面でも、社会システム面でもメリットがあるのではないかと思われます。日本でバイオマス熱利用が進まない理由は様々挙げることができますが、その中で、多くの人が気づいていない、技術的な側面や過去からの設計慣習についても、指摘したいと思います。
司会:広島大学大学院先進理工系科学研究科 教授 松村 幸彦