工学研究科 日比野准教授の水質浄化に関する研究がフィリピンのテレビで紹介されました

 広島大学大学院工学研究科 社会基盤環境工学専攻の日比野 忠史准教授がフィリピン・マニラ首都圏を流れるパシッグ川の浄化のために行った研究成果が、フィリピンのテレビで紹介されました。

 広島大学、PRRC(Pasig River Rehabilitation Commission)、フィリピン大学が共同してサンミゲル水路において2018年1月8日から12日の5日間でGCAを活用した水質処理システムが構築されました。
 パシッグ(Pasig)川はマニラ首都圏の中心をラグナ湖からマニラ湾に向かって東から西に流れる全長約27kmの河川です。パシッグ川には全長約1794kmの47支流・水路(estero)が複雑に入り組んでおり、サンミゲル水路はそれらの水路の一部です。PRRCはパシッグ川とその支流水路の再生(有機汚濁した水域の水質浄化)を目的としたフィリピン大統領の諮問機関です。
 2018年1月16日、フィリピンのマニラ市のサンミゲル水路において水質改善を開始するにあたりテープカットセレモニーが行われました。PRRCの最高責任者であるAntonio氏、フィリピン大学のTanchuling教授、広島大学の日比野准教授、Barangay(地方自治体)のFloro's議長によってテープカットが行われるとともに、PRRCの水質改善を実行する意欲が示されました。
 石炭灰を造粒して作成されたGCAは、過去10年間で日本の様々な海域や感潮域の水質や底質改善に実績のある材料です。
 広島大学とフィリピン大学はPRRCと協力して、水質の悪化したPasig川の再生に対するGCAの有効性を研究してきました。本水質浄化システムではフィリピンで産出した石炭灰により作成したGCAを用いています。フィリピン大学の研究室で行われた広範な室内実験に基づく性能評価より、地元産のGCAがサンミゲル水路の水質を改善できることを明らかにしています。

論文情報

掲載雑誌:Marine Pollution Bulletin, vol. 83, pp. 132–137, 2014. DOI: 10.1016/j.marpolbul.2014.04.008
論文題目:Field experiments on remediation of coastal sediments using granulated coal ash
著者:Kyunghoi Kim, Tadashi Hibino, Tamiji Yamamoto, Shinjiro Hayakawa, Yugo Mito, Kenji Nakamoto, In-Cheol Lee

掲載雑誌:土木学会論文集B2(海岸工学) 71巻2 号, pp. I_1477-I_1482, 2015. DOI: 10.2208/kaigan.71.I_1477
論文題目:環境再生材の材料となるアルカリ剤の化学特性
著者:水元 健太, 中本 健二, Touch NARONG, 日比野 忠史

掲載雑誌:Procedia Engineering, Vol. 116, pp. 326-333, 2015. DOI: 10.1016/j.proeng.2015.08.297
論文題目:Granulated Coal Ash – used Method for Remediation of Organic Matter Enriched Coastal Sediments
著者:Kenji Nakamoto, Tadashi Hibino, Kazutoshi Hino

掲載雑誌:土木学会論文集B3(海洋開発)71巻2号, pp. I_910-I_915, 2015. DOI: 10.2208/jscejoe.71.I_910
論文題目:還元化した下水系土壌での生態系の再生
著者:日比野 忠史, 金城 信隆, TOUCH NARONG, 福岡 捷二

掲載雑誌:Asian and Pacific Coasts, pp. 861-867, 2017. DOI: 10.1142/9789813233812_0078
論文題目:Improvement of Water Quality by Granulated Coal Ash in the Pasig River and Its Tributaries
著者:S. Azuma, M. Bonga, M. A. N. Tanchuling, G. Cruz, N. Touch, T. Hibino, and N. Pagayao

掲載雑誌:土木学会論文集B3(海洋開発)73巻2号, pp. I_941-I_946, 2017. DOI: 10.2208/jscejoe.73.I_941
論文題目:石炭灰造粒物(GCA)によるリン酸固定化機構の考察
著者:森本 優希, TOUCH NARONG, 日比野 忠史

【お問合せ先】

広島大学大学院工学研究科 社会基盤環境工学専攻(海岸工学研究室)
准教授  日比野 忠史
TEL:082-424-7816

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