院生会主催セミナー「理系学生のための文章力講座 -分かりやすい自己PRを書く-」を開催しました



平成21年9月10日(木)、生物圏科学研究科において、院生会主催セミナーを開催しました。



このセミナーは、大学院生のニーズに即した講演会の開催を、内容の選定や演者との交渉、開催までの全てを大学院生が行うことにより、大学院生のニーズに応える講演会の開催、および大学院生の自主性を養うという目的で実施しています。

本年度第1回目となる講演会は、ジャーナリストであり、NTTレゾナント・gooニュースデスク兼gooラボ企画担当の藤代裕之氏に、「理系学生のための文章力講座-分かりやすい自己PRを書く」と題した講演とワークショップを行って戴きました。

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(以下、古澤修一副研究科長と院生会会長 中野幹治さんの報告です)

「院生会主催の講演会に出席して」

大学院生物圏科学研究科 副研究科長(教育担当) 古澤 修一

この企画は、大学院生のニーズに即した講演会の開催を、内容の選定や演者との交渉、開催までの全てを大学院生に行って貰うことで、大学院生のニーズに応える講演会の開催、および大学院生の自主性を養うという目的で行なっています。
本年度1回目の講演会は、ジャーナリストであり、NTTレゾナント・gooニュースデスク兼gooラボ企画担当の藤代裕之氏に、「理系学生のための文章力講座-分かりやすい自己PRを書く」と題した講演とワークショップを行って戴きました。出席者は教員および研究科院生で、約30名でした。



講演では、文章を書くには「目的」と「読者」が大事であること、つまり、何を求めて書いているのか、職を得たい目的の文章か、彼女とつきあいたい目的の文章かと、平易な例え話を巧みに入れていただきながら、その目的を意識して、誰に伝えるのかを意識することが大事であることが、まず初めに紹介されました。これは非常に重要な事で、私達教員にとっても、どれだけ学生の立場に立って講義をしているのかと、自問自答をしなければならない問題です。




<藤代裕之氏>
その後、出席者全員が二人で一つの組になり、相手のキャッチコピーを作る作業に移行しました。

会場ではそれぞれの組でお互いが質問し合い、一時は騒然となりましたが、その質問に答える形で幾つかの項目が着々と記載され、それを上手くまとめたコピーが沢山作られました。その中でも、私と組を作った吉田さんの作成したコピーが優秀であると、藤代さんにより皆に紹介されました。私の趣味がスキューバダイビングやフライフィッシングで、川遊びや川掃除など、多くの水に関する趣味があることと、私の名前が古澤であることから、私のコピーを「水のそばで四つの幸せを見つける古澤先生」と作成しました。読み手には、まず最初に、四つの幸せって何の事だろうという興味が沸き、水に関した趣味を多く持っていることと、名字に使用される「澤」の文字を思い浮かべさすことで、二度とは忘れない、「合点」の感覚を相手に与えさせることができるコピーであるという事でした。

このようなワークショップ形式の後、相手(読み手)と自分の土俵、そして題材が上手く重なる部分で話しを伝えないと、相手には自分を紹介することはできないという、時と場合、相手によって、あるいはその目的によって、何を話したら良いのかについて、自己紹介が異なることが紹介され、会場にいた多くの学生は目を輝かせながら聞いておりました。このように、講演では、読み手に伝わるために必要なこと、書く前に考えておくこと、陥りがちな失敗など、分かりやすい文章を書くための「技術」が説明されました。

講演会終了後、会場を変え、14名が参加してワークショップが開催されました。ここでは、講演を踏まえて「モジュールライティング」と呼ばれる手法を利用して、研究をベースにした魅力的な自己紹介・自己PR文章を実際に書く作業に入りました。ここでも、二人で一組のグループになり、お互いが作成した自己紹介文とその修正作業が行われました。





<キャッチコピーを作成>
人に聞かれて初めてわかった自分の「人とは違って売れるポイント」が、続々とリストアップされていきます。ここでも、学生は自分の土俵ではなく、相手の土俵を知ることから自分をアピールする(「刺す」という言葉が用いられておりました)ポイントを探すことの重要性を学んだはずです。

今回の講演会は、参加した学生さんのプレゼンテーション能力の向上や、就職活動時での効果的な自己紹介を作成する際に、大いに役に立ったものと思われます。講演会を企画・実行して戴いた院生会の皆さんの企画力・行動力に感謝いたします。そしてなによりも、院生会の方々にはすばらしい演者を選んで戴きました。関係した全ての方々に拍手を持って、御礼とさせて戴きたいと思います。ありがとうございました。

「院生会主催講演会 -ジャーナリストの藤代裕之氏をお招きして-」
大学院生物圏科学研究科 院生会会長 中野 幹治
本研究科は、平成20年度より「大学院教育改革支援プログラム」に採択されており、さまざまな教育改革に取り組んでいます。その一環として、今回は大学院生による組織である院生会が独自に企画・立案した講演会に研究科からご支援をいただきました。

院生会では、これまでに本研究科の修了生をお招きし、ご講演いただく機会を企画してきました。これらの講演は、企業サイド・アカデミックサイドの研究の世界でご活躍されている方々から、現場の実情や体験談を聞くことのできる貴重な機会となりました。今回は、こうした研究者の方々によるお話とは少々異なり、ジャーナリストの藤代裕之氏(NTTレゾナント・gooニュースデスク兼gooラボ企画担当)をお招きしてご講演をいただきました。本講演は、大学院生がスキルアップしていく上でより実践的に役立てることを目指し、研究においても就職活動においても必須である文章の表現力向上に着目して企画しました。

藤代氏は、他の大学においても、科学技術コミュニケーター養成ユニットプログラムに講師として参画されていらっしゃる方です。今回の講演「理系学生のための文章力講座 -分かりやすい自己PRを書く-」では、読み手に伝わるために必要なこと、書く前に考えておくこと、陥りがちな失敗など、文章を書くための「技術」について分かり易く話していただきました。 



本講演は、講義とワークショップによる二部構成で行いました。講義では、文章を書く上で大前提となる「目的」と「読者」を強く意識することや、実際のプロセスである「仮説」、「調査」、「構成」および「編集」について分解して解説していただきました。また、実際に受講者同士で相互インタビューを行うなど、これまでに経験したことのないユニークな形式で進められ、受講者からは新鮮だったとの声が寄せられました。





<講演の様子>

ワークショップでは、講義を踏まえて自己PRを書いてみることからスタートし、陥りがちなミスやそれを回避するために必要な点などを実際に体験することができました。講演終了後には、個別に質問や自己PRの添削を希望する学生の姿が見受けられ、学生と講演者との連帯感が生まれたように感じました。本講演では、全体を通して文章を書く上で普段意識したことのなかった工程を初めて意識することができ、今後これをきっかけに文章の表現力向上に繋がればと思います。

本講演を受講された方々からは、今回ように研究者として必要な能力を養えるセミナーを多く開催してほしいとのご意見が寄せられました。また、講義・ワークショップで熱心に取り組む受講者の方々の姿から、今回の講演会は有意義なものであったと感じています。院生会としては、今後も院生の要望に沿えるような講演会を企画していければと考えています。今回このような講演を開催することができましたのは、ご講演いただいた藤代氏、ご支援くださった研究科並びに関係者の皆さまのお陰です。厚くお礼を申し上げます。





<ワークショップ>


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