研究科長挨拶

市橋 勝(Ph.D、大学院国際協力研究科研究科長、教授)

 広島大学大学院国際協力研究科(International Development and Cooperation: IDEC)は、広島大学の理念5原則に基づき、途上国の課題解決に取り組む人材を育成することをミッションとして1994年4月に創設されました。それ以来、国際環境協力、国際平和協力、国際教育協力の3つを柱とした国際協力学の分野での拠点を形成し、世界中から多くの研究者と学生を集めてきました。
 また、通常の教育課程に加え、独自の特別プログラムにも取り組んできました。具体的には、
・5年一貫博士課程リーディング・プログラム「たおやかで平和な共生社会創生プログラム」(文学研究科、工学研究科他と共同の全学横断型、2013年度~)
・テキサス大学オースティン校(LBJ-UT/A)との「日米複数学位(修士号)プログラム」(2011年度~)
・文部科学省特別教育研究経費による「平和構築連携融合事業」(2005~2012年度)
・文部科学省21世紀COEプログラムおよび科学技術戦略推進費「低炭素社会を設計する国際環境リーダー育成プログラム」(2003年度~)
・JICA海外協力隊と連携したザンビア特別教育プログラム(2002年度~)
などです。
 更に、文部科学省国費外国人留学生の優先配置を行う特別プログラムも2006年度から継続的に行っております。
 その結果、設立以来1,968名の修士修了生と388名の博士修了生を日本国内外に輩出しており、2019年5月現在、計37ヶ国、267名の留学生がIDECで学んでいます。

 以上のように、日本国内の開発系大学院として特筆すべき実績を挙げてきたIDECは、2020年4月に「IDEC機構」という全学組織として生まれ変わりました。これは、これまでの部局の枠を超えて、2020年度に再編された4つの本学大学院を組織横断的に貫く、教育、研究、実践部門を備えた機関という一層スケールの大きな組織を目指すものです。
 国際的に活躍できる高度専門人材を育成する開発系大学院は、これからの時代ますます大きな役割を担うことが期待されています。国連で採択された2030年までの「持続可能な開発目標(SDGs)」や、日本政府が推進しようとしている科学技術政策「Society5.0」の国際展開、そして、地域の東広島市と連携したサステナブル・ユニヴァーシティ・タウン構想など、多くの活動を推進していく上で、IDECのアップグレード化は不可欠です。
 グローバル化の進展により、国際社会はより流動的かつ複雑な局面を迎えつつありますが、今後のIDEC機構の取組にどうぞ御期待ください。

 


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