数理・データサイエンス・AI応用基礎教育パッケージ(情報科学部)について
概要
政府の「AI戦略2019」(2019年6月策定)では、「文理を問わず、一定規模の大学・高専生(約25万人卒/年)が、自らの専門分野への数理・データサイエンス・AIの応用基礎力を習得」することとされています。
このことを踏まえ、情報科学部が開講する科目群を1つのパッケージとして学修し、データ分析やプログラミングなどの応用的な知識を身に付けることを目的とした「数理・データサイエンス・AI応用基礎教育パッケージ」を開設しました。
このパッケージは、令和6年8月27日付けで文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(応用基礎レベル)」の認定を受けています。
(認定の有効期限:令和11年3月31日まで)
※広島大学では、「AI戦略2019」で示すリテラシーレベルの数理・データサイエンス・AIの知識・スキル修得については、令和2(2020)年度から教養教育科目において全学生対象に「情報・データサイエンス・AIパッケージ」を開設しています。
プログラムの目的
本プログラムの学修を通じて、以下のような人材を育成することを目指します。
- AI分野と情報データ科学分野の融合で複雑な課題に挑む次世代のスペシャリストを育成する
- グローバル化と情報化社会の進展に対応し、ビッグデータからエビデンスに基づく戦略を生み出す能力を養う
- 計算機科学、データ科学、知能科学の3プログラムが基礎知識とスキルを提供し、各領域の専門性を深める
また、本プログラムを通じて、次のような能力を身に付けることができます。
- 確率分布や相関関係に関する理解を深め、統計的推論や因果関係の把握能力を習得する
- 仮説検証や知識発見、計画策定、判断支援などの能力を身に付ける
- コンピュータでのデータ処理やアルゴリズムの理解を深め、実践的なデータ解析技術を磨く
- データの収集から加工・分割・統合までの処理に精通する
- AIの基礎知識(歴史、推論、機械学習、深層学習)を理解する
- 倫理や社会的受容性について学び、AI技術の適切な活用に対する意識を高める
- AIの学習と推論、評価、再学習などのプロセスを理解し、社会実装に必要な能力を身に付ける
修了要件(カリキュラム)
以下の科目の単位をすべて修得すること。
- 確率論基礎
- プログラミングI
- プログラミングII
- 情報科学演習I
- 情報科学演習II
- 人工知能概論(※)
※令和4年度入学生は旧科目「人工知能と機械学習」を修得すること。
授業内容(概要)
確率論基礎
大学における確率論の導入教育として、確率論の基礎知識について学ぶ。具体的には、組合せ確率に基づいた古典的確率論の基礎事項を確認し、標本空間や確率変数の基本概念を理解する。ここでは測度論など高度に数学的な概念を用いることなく、‘確率’のもつ本質的なイメージを直感的に掴むことを目標とする。さらに、具体的に確率分布関数が与えられた場合に、平均、分散、各種モーメントを計算する能力、さらには分布の畳込み演算やモーメント母関数を計算する能力を修得する。
プログラミングI
コンピュータプログラミングの基礎的技法を学び、C言語プログラムの具体的作成手順を習得する。具体的には、(1)与えられた処理要求を、プログラムにコード化するための基本的な考え方を身につける。(2)C言語で書かれた簡単なプログラムについて、それがどのような動きをするのかを理解し説明できる能力を習得する。(3)基本的な処理要求を、C言語でプログラム化して実行し、正しく計算結果を得る技術を学ぶ。
プログラミングII
コンピュータプログラミングの基礎的技法に対する理解を深め、具体的な作成手順について習熟することを目標としている。プログラミングを実際に行うにあたっての言語としてCを用いる。
情報科学演習I
C言語を用いて、最新の計算機が持つ演算能力の活かし方とその評価、システム・アプリケーションソフトウェア構築に必要な諸技法の習得を目的とする。デジタル画像処理の基礎をpythonプログラミングを通じて習得する。
情報科学演習II
与えられた演習課題や問題に対して、自ら解決方法を見つけ出して対処し、その結果をレポートとしてまとめ報告する能力を習得する。具体的には「アルゴリズムとデータ構造II」と「Rによる社会科学データ分析」のテーマについて演習を行う。
人工知能概論
人工知能の基本概念や歴史を理解する。探索、最適経路の探索、ゲーム理論、動的計画法、確率とベイズ理論、強化学習、フィルタリング、クラスタリング、教師あり・なし学習、ニューラルネットワーク、自然言語処理、記号論理、証明、質問応答などの人工知能の主要な領域について学ぶ。
実施体制・自己点検
本プログラムは情報科学部が開設し、情報科学部教務委員会を中心にプログラムの企画・改善を行っています。
情報科学部教務委員会では、プログラムの企画・改善に関する検討を行い、さらに自己点検・評価委員会が点検・評価を行うことで、本プログラムのPDCAを行っています。
また、教務委員会での企画・改善及び自己点検・評価委員会の評価結果は、情報科学部の全教員が参画する情報科学部教員会で共有するとともに、意見交換を通じて、さらなる改善を図っています。