情報・データサイエンス・AIパッケージ

現在、「数理・データサイエンス・AI」は、社会における様々な領域で活用されており、いわば「読み・書き・そろばん」ともいえる位置を占めています。政府の「AI戦略2019」(令和元年6月11日統合イノベーション戦略推進会議決定)では、文理を問わず全ての大学・高専生(約50万人卒/年)が正規課程にてリテラシーレベルの数理・データサイエンス・AIを修得することを目標としています。

広島大学では、この動きを進めるため、教養教育における情報教育・データリテラシーについて、継続して見直しを行っています。令和2(2020)年度から「情報科目」の科目区分を「情報・データサイエンス科目」へ変更するとともに、これからの数理・データサイエンス・AI教育に対応し、かつ、文理を問わずすべての学生にとって「分かりやすい」ものとなるよう、授業内容を検討してきました。併せて、社会で期待されている数理・データサイエンス・AIの初級(リテラシー)レベルを習得するための枠組みとして、必修科目を中心に「情報・データサイエンス・AIパッケージ」を策定しました。

みなさんには、このパッケージの内容を学修することで、数理・データサイエンス・AIについての興味・関心を高め、今後、各自の専門とする領域においても一層の学修を深めていただくことを期待しています。なお、そのための枠組みとして、本学では「AI・データサイエンス応用基礎特定プログラム」を開設しています。

将来的には、社会に出てからも応用できる能力につながりますので、ぜひ、これらの科目の履修を通じて知見を広めてください。

このパッケージは、令和3年8月4日付けで文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」の認定を受けています。
(認定の有効期限:令和8年3月31日まで)

情報・データサイエンス・AIパッケージの概要

学修成果(身につけることのできる能力)

高度情報化社会の中でデータおよびコンピュータを活用していくのに必要となる基礎的な知識や技能を得る。さらに、有用性と問題点、情報倫理上の課題を検討した上でデータサイエンスと情報科学の知見を活用する能力を身につけ、将来、新しく現れる技術にも対応していく態度を育てる。

修了要件(カリキュラム)

教養教育科目における「情報・データ科学入門」(情報・データサイエンス科目)2単位をコア科目として、「大学教育入門」(大学教育基礎科目)2単位および情報・データサイエンス科目を中心とした選択必修2単位の合計3科目6単位を修得し、情報・データサイエンス・AIの基礎をパッケージで学修する。

※本学の学生(令和3年度以降入学生)は、上記科目の単位を修得することで、このパッケージを修了、すなわち「リテラシーレベルの数理・データサイエンス・AIを習得した」ことになるよう、カリキュラムを構成しています。

※このパッケージを履修するための手続きは特にありません。通常の履修登録を行ってください。

授業内容(概要)

情報・データ科学入門

全ての科目受講の基礎となる、情報科学とデータサイエンスに関する基礎的知識・技能を学ぶ。

高度情報化社会の中でデータおよびコンピュータを活用していくのに必要となる基礎的な知識や技能を得る。さらに、有用性と問題点、情報倫理上の課題を検討した上でデータサイエンスと情報科学の知見を活用する能力を身につけ、将来、新しく現れる技術にも対応していく態度を育てる。

大学教育入門

大学で学ぶということはどういうことかを考え、大学での目標を明確にするとともに、大学で学ぶ上で基本となる技能や態度を身につける。

※このパッケージに関連する内容は、テキスト第8章「アカデミック・プレゼンテーション」の回で情報メディア教育研究センターが実施

データサイエンス基礎

標本と母集団、確率分布や統計的手法などのデータサイエンスに関する初歩的な内容を理解し、 簡単なデータ分析が行えるようになる。

ゼロからはじめるプログラミング

プログラミングの基礎を学び、コンピュータを活用する知識や技能を習得する。同時に、数理的な素養と論理的思考力を向上させる。プログラミング言語として、簡単でわかりやすく、データサイエンスやAIの分野で多く使用されているPythonを用いる。

コンピュータ・プログラミング

Javaは(Windows、Mac、Linuxなど)どんなOSのマシンでも動作するマルチプラットフォームのプログラミング言語で、現在ではC(あるいはC++)言語とならんで最も広く普及している。本講義では、プログラミング初学者を想定してJava言語によるプログラミングの基本を解説する。

知能とコンピュータ

人間と同等の知能をコンピュータで実現するということがコンピュータ開発初期からの目標であったが、最近、将棋や自動運転のようにかなり人間に近い動作ができるようになってきている。そこで、このような人工知能の構成とその特性を考察することにより、人間の知識、創造性、思考力は何かという問いに対する各自の解答作成を試みる。

教育のためのデータサイエンス

教育現場において、データに基づいた教育は今後ますます重要になってくると考えられる。この授業では、データサイエンスと教育のかかわりについて扱い、教育現場におけるデータの扱い方を通じて、教員を目指している人が学ぶべきリテラシーレベルのデータサイエンスについて解説する。

工学プログラミング基礎・プログラミングI

※工学部の学生を対象とした専門教育科目です。

コンピュータプログラミングの基礎的技法を学び、C⾔語プログラムの具体的作成⼿順を習得する。具体的には、(1)与えられた処理要求を、プログラムにコード化するための基本的な考え⽅を⾝につける。(2)C⾔語で書かれた簡単なプログラムについて、それがどのような動きをするのかを理解し説明できる能⼒を習得する。(3)基本的な処理要求を、C⾔語でプログラム化して実⾏し、正しく計算結果を得る技術を学ぶ。

モデルカリキュラムとの対応

※各項目の学修内容の後の( )は、このパッケージで対応している科目を示しています。

1. 社会におけるデータ・AI利活用

1-1. 社会で起きている変化
社会で起きている変化を知り、数理・データサイエンス・AIを学ぶことの意義を理解する AIを活用した新しいビジネス/サービスを知る
(情報・データ科学入門)

1-2. 社会で活用されているデータ
どんなデータが集められ、どう活用されているかを知る
(情報・データ科学入門)

1-3. データ・AIの活用領域
さまざまな領域でデータ・AIが活用されていることを知る
(情報・データ科学入門)

1-4. データ・AI利活用のための技術
データ・AIを活用するために使われている技術の概要を知る
(情報・データ科学入門)

1-5. データ・AI利活用の現場
データ・AIを活用することによって、どのような価値が生まれているかを知る
(情報・データ科学入門)

1-6. データ・AI利活用の最新動向
データ・AI利活用における最新動向(ビジネスモデル、テクノロジー)を知る
(情報・データ科学入門)

2. データリテラシー

2-1. データを読む
データを適切に読み解く力を養う
(情報・データ科学入門、大学教育入門)

2-2. データを説明する
データを適切に説明する力を養う
(情報・データ科学入門、大学教育入門)

2-3. データを扱う
データを扱うための力を養う
(情報・データ科学入門、大学教育入門)

3. データ・AI利活用における留意事項

3-1.データ・AIを扱う上での留意事項
データ・AIを利活用する上で知っておくべきこと
(情報・データ科学入門、大学教育入門)

3-2.データを守る上での留意事項
データを守る上で知っておくべきこと
(情報・データ科学入門、大学教育入門)

実施体制・自己点検

教養教育科目は教育本部が開設し、全学体制で実施します。

科目の企画・実施にあたっては、教育本部全学教育統括部の「情報教育・データリテラシー部門」を中心に自己点検・評価を行った上で授業内容の改善を図り、教育本部全学教育統括部統括会議が助言を行う体制を構築しています。 


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