Der Begriff der Person in systematischer wie historischer Perspektive : Ein deutsch-japanischer Dialog
編者:M. Quante, H. Goto, T. Rojek, S. Segawa
著者:山内廣隆・市來津由彦・硲智樹ほか
発 行 所:mentis Verlag
著者からのメッセージ
本書は日独の哲学研究者が人格概念について歴史的・理論的・実践的観点から考察した成果を取りまとめた論文集である。人格概念は近世末に西洋から輸入され、井上哲次郎、朝永三十郎、和辻哲郎らによって咀嚼されて日常語として定着した。本書の目的は、こうした経緯を踏まえながら、人格概念を巡る日独対話のあらたな展開を促進することにある。
日葡辞書
著者:白井純
発行所:八木書店
著者からのメッセージ
本書は、2018年9月にブラジル国立図書館(在リオ・デ・ジャネイロ)で新しく発見されたキリシタン版『日葡辞書』(イエズス会宣教師による日本語・ポルトガル語対訳辞書)の複製本で、現存する『日葡辞書』としては4番目となる貴重な文献である。
日本で約400年前に刊行された『日葡辞書』が遙々と海を渡り、ブラジルの図書館で発見された奇遇には驚きを禁じ得ないが、そこにはポルトガル旧植民地であり、ナポレオンの圧力から逃れたポルトガル王室が遷都した後、帝政が敷かれ、更にクーデターにより共和制に移行したブラジルの激動の歴史も垣間見えている。
サンパウロ大学のエリザ・タシロ氏と白井の解説に、ブラジル国立図書館理事長のマリア・マルケス氏、大阪大学の岸本恵実氏、法政大学の中野遙氏の解説を加え、日本語・英語・ポルトガル語の3カ国語に翻訳し、世に送るものである。
修正・復刻版 永禄奥書 源氏物語紹巴抄
編者:稲賀敬二・広島平安文学研究会編
発行所:和泉書院
著者からのメッセージ
連歌師里村紹巴が著した20巻から成る源氏物語の注釈書『源氏物語紹巴抄』は、三条西公条による講釈の聞書をもとに、永禄7年(1564)から翌8年にかけて整理・編集されたものである。三条西家源氏学の展開を知る上で重要な書であるだけでなく、近世初期に刊行されて世に流布したことから、『源氏物語』享受史上少なからぬ影響力を持った書である。その『紹巴抄』に猪苗代兼如が増注した本が存在する。その一本が広島大学教授であった故稲賀敬二所蔵本(安田女子大学図書館現蔵)で、兼如による巻末や行間、付箋への書き入れが多数ある。かつて広島平安文学研究会から「翻刻 平安文学資料稿」第二期『永禄奥書 源氏物語紹巴抄』として十分冊と索引編一冊で翻刻刊行され、多くの研究者に利用されてきたが、すでに入手困難であった。今回、これを1冊に合冊し、元版にあった誤植や印刷不鮮明な箇所を修正し、関連論考の再録を加えて覆刻刊行した。
大越黎朝 國朝刑律
著者:八尾隆生
発行所:汲古書院
著者からのメッセージ
本書はヴェトナム黎朝の基本法典『國朝刑律』を、版本6種、写本6種をもとに校合したものである。付録として関連する法令集を採録している。書頭には編者による解題があり、「現存する『國朝刑律』は15世紀後半の黎聖宗の「洪徳律」に概ね依る」という通説を全面的に否定し、黎朝創立後まもなくして成立したと思われる原『國朝刑律』の姿をほぼそのまま残していることを論証している。本書により日本、中国、朝鮮などの「律」との比較研究が盛んになれば、望外の光栄である。
グローバル化に対応した新教職論
編著者:竹田敏彦・衛藤吉則
発行所:ナカニシヤ出版
著者からのメッセージ
本書は、主として、教職をめざす学生、幼小中高の教員、教職担当の大学教員のために、「グローバル化」の時代に求められる「人間力」や「教育力(授業・学校)」の内実について多角的に解説したものである。具体的には、新学習指導要領、PISA調査、外国語、特別の教科道徳、特別活動、総合的な学習の時間、特別支援教育、生徒指導、インクルーシブ教育、臨床教育学等の観点から論じた。著者は自らがおこなうNPO活動の実践も踏まえ、障害の有無、能力・男女・貧富の差を超えて多様性の内に共生をめざすインクルーシブ教育のモデルとしてシュタイナー教育を紹介した。