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【研究成果】右心室以外の心臓を構成する細胞へ分化する前駆細胞を発見 ~再生医療の発展に貢献することが期待されます~

広島大学大学院医歯薬保健学研究院の小久保博樹講師は、広島大学医学部MD-PhDコースの学生であった藤井雅行博士、吉栖正生教授ら共に、国立遺伝学研究所 相賀裕美子教授らとの共同研究によって、心臓の流出路、左心室、心房、静脈洞へ、つまり右心室以外の心臓へと寄与する新たな心臓前駆細胞を同定しました。

近年、心臓病は、我が国において、悪性腫瘍に次ぐ第二位の死因となっているため、再生医療の早期実現化が期待されています。心筋は分化した後に増殖能を持たないため、高い増殖および分化能を持つことからiPSやES細胞などの幹細胞が、心筋再生の細胞源として期待されています。再生医療の早期実現のためには、各々の心筋を安定的に得ることのできる誘導法の確立が必須です。

心筋は、心房や心室を構成する固有心筋と及び刺激伝導系を構成する特殊心筋とからなります。今回、Sfrp5遺伝子を発現した細胞が、固有心筋から成る右心室以外の心筋と、静脈洞(刺激伝導系の一部が形成されることが知られている)へと分化することから、今後Sfrp5遺伝子を発現する細胞の性質を詳しく解析することで、心房や心室を構成する心筋と、刺激伝導系を構成する特殊心筋の両心筋の誘導法の確立に向けた重要な技術的基盤となることが期待されます。

本研究の成果は、Nature Communicationsに掲載されました。

平成29年3月13日、本件について、広島大学霞キャンパスにおいて記者説明会を行いました。

説明を行う小久保講師

【主な研究成果のポイント】

  1. 右心室以外の心臓を構成する細胞へ分化する、共通の心臓前駆細胞(Sfrp5遺伝子を発現する細胞)を同定しました。
  2. 今後、固有心筋(心房や心室)だけでなく特殊心筋が分化誘導する重要な技術的基盤となり、ES細胞やiPS細胞を用いた再生医療の発展に貢献することが期待されます。

【論文情報】
論文名:Sfrp5 identifies murine cardiac progenitors for all myocardial structures except for the right ventricle
著者名:Fuiji Masayuki, Akane Sakaguchi, Ryo Kamata, Masataka Nagao, Shilvia M. Evans, Masao Yoshizumi, Akihiko Shimono, Yumiko saga, and Hiroki Kokubo
雑誌名:Nature Communications Doi: 10.1038/NCOMMS14664
論文掲載のページ (Nature Communicationsオンライン版に移動します)

研究に関するお問い合わせ先

広島大学大学院医歯薬保健学研究院 
心臓血管生理医学教室 小久保 博樹

TEL:082-257-5122
FAX:082-257-5124
E-mail:hkokubo*hiroshima-u.ac.jp(*は半角@に置き換えて送信してください)


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