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本研究成果のポイント
- 心房細動患者さんが心不全を起こす頻拍誘発性心筋症の症例にHCN4(※1)遺伝子多型(※2)変異型が多いことを発見しました。
- HCN4遺伝子多型変異型は、心房細動患者さんの心機能低下や心不全リスクのマーカーとなる可能性があります。
- 心機能低下を起こす人を予測できれば、早期治療介入により、心不全を未然に防ぐことが出来ると期待されます。
【用語説明】
※1 HCN4
hyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated channelの略。
Ifチャネル、人の心臓の刺激伝導系という電気の通り道に存在し歩調取りの役目をする。
※2 遺伝子多型
個人毎の塩基配列の違いのことである。
概要
広島大学大学院医歯薬保健学研究科循環器内科の中野由紀子准教授、木原康樹教授、同消化器・代謝内科の越智秀典客員教授、茶山一彰教授らの研究グループは、頻拍誘発性心筋症の患者さんは、心筋症を起こさない患者さんに比べHCN4(Ifチャネル)遺伝子多型(rs7164883)の変異型が多いことを初めて発見しました。
広島大学病院で心房細動の治療を行った患者さんの中で、頻拍誘発性心筋症を起こした73人では起こさなかった857人に比べてHCN4遺伝子多型(rs7164883)が多いことを発見しました。(変異型有26% vs 9.7%)
今回の結果より、HCN4遺伝子多型(rs7164883)は心房細動患者さんにおいて頻拍誘発性心筋症発症の予測マーカーとなる可能性があります。頻拍誘発性心筋症の予測マーカーはこれまでなく、世界で初めての発見です。あらかじめそのマーカーを用いて発症リスクを予測することにより、リスクに応じて早期治療介入などの治療選択が可能となります。心房細動患者さんの心不全発症を未然に防ぐことは患者さんにとって大きなメリットとなります。
本研究成果は、米国科学誌「Circulation: Genomics and Presision Medicine」(オンライン版)に掲載されました。
論文情報
- 掲載雑誌: Circulation: Genomic and Precision Medicine
- 論文題目: HCN4 Gene polymorphisms are Associated with Occurrence of Tachycardia Induced Cardiomyopathy in Patients with Atrial Fibrillation
- 著者: Yukiko Nakano*, Hidenori Ochi, Akinori Sairaku, Yuko Onohara , Takehito Tokuyama, Chikaaki Motoda, Hiroya Matsumura, Shunsuke Tomomori, Michitaka Amioka, Naoya Hironobe, MD, Yousaku Ohkubo, Shou Okamura, Naomasa Makita, Yukihiko Yoshida, Kazuaki Chayama, and Yasuki Kihara
* Corresponding author(責任著者) - DOI番号: 10.1161/CIRCGEN.117.001980
- 報道発表資料(435.45 KB)
- 論文掲載ページ (Circulation: Genomic and Precision Medicineに移動します)
- 広島大学研究者総覧 (中野 由紀子 准教授)
- 広島大学研究者総覧 (木原 康樹 教授)
- 広島大学大学院医歯薬保健学研究科循環器内科学教室ホームページ
広島大学大学院医歯薬保健学研究科循環器内科
准教授 中野 由紀子