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【研究成果】ミクログリアが小脳神経回路の生後発達に不可欠であることを発見 ~精神・神経疾患の病態の理解と治療方法の解明に期待~

本研究成果のポイント

  • 脳の免疫細胞であるミクログリアが、生後発達期の小脳の神経回路の発達に必須であることを報告しました。
  • 自閉症や統合失調症などの原因として、脳の興奮と抑制のバランスの乱れに加えて、ミクログリア機能の破綻も一因であると指摘されています。ミクログリアの神経回路発達への作用に関する本研究成果は、それら精神・神経疾患の病態の理解と治療方法の解明に貢献することが期待されます。

概要

広島大学大学院医歯薬保健学研究科神経生理学 橋本浩一教授、中山寿子元助教(現 東京女子医科大学助教)、森本千恵元大学院生、新潟大学脳研究所モデル動物開発分野 阿部 学准教授、同研究所 﨑村建司フェロー、東京大学大学院医学系研究科神経細胞生物学 飯田 忠恒特任助教、岡部 繁男教授らの研究グループは、脳の免疫細胞であるミクログリアが、小脳皮質の神経回路の生後発達に重要な働きをすることを明らかにしました。

これまでミクログリアは、神経回路が形作られる過程において、脳の働きに必要ないシナプスをマクロファージのように貪食して取り除くことにより、機能的に必要な神経回路の精緻化に関わることが報告されていました。しかし本研究の解析の結果、小脳皮質においてミクログリアは貪食ではなく、神経細胞との相互作用を介して神経回路の精緻化に関わる、という新しい知見を発見しました。

今回の解析は、ミクログリアの機能破綻が病態の一端を担うと考えられている神経変性疾患や自閉症、統合失調症などの精神疾患の病態理解や治療方法の解明に新たな切り口を与えると期待されます。

本研究は、科学研究費補助金、脳科学研究戦略推進プログラムのサポートを受けて実施され、研究成果は、英国科学誌「Nature Communications」オンライン版に掲載されました。

論文情報

  • 掲載誌: Nature Communications
  • 論文タイトル: Microglia permit climbing fiber elimination by promoting GABAergic inhibition in the developing cerebellum
  • 著者: 中山 寿子2、阿部 学3、森本 千恵1、飯田 忠恒5、岡部 繁男5、﨑村 建司、橋本 浩一1
    1. 広島大学 大学院医歯薬保健学研究科 神経生理学
    2. 東京女子医科大学 医学部 第一生理学
    3. 新潟大学 脳研究所 モデル動物開発分野
    4. 新潟大学 脳研究所
    5. 東京大学 大学院医学系研究科 神経細胞生物学
  • DOI番号: DOI:10.1038/s41467-018-05100-z
【お問い合わせ先】

<研究に関すること>
広島大学大学院医歯薬保健学研究科
教授 橋本浩一
TEL: 082-257-5125
FAX: 082-257-1622
E-mail: hashik*hiroshima-u.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)

<報道(広報)に関すること>
広島大学広報グループ
TEL: 082-424-3749
FAX: 082-424-6040
E-mail: koho*office.hiroshima-u.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)

新潟大学脳研究所 共同利用係
TEL: 025-227-0565
FAX: 025-227-0507
E-mail: noukyoudo*adm.niigata-u.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)


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