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【研究成果】飛沫をまるごと廃棄できる使い捨てエプロン「飛沫プロテクタ」~広島大学病院と地場の自動車部品メーカーが商品化~(動画あり)

広島大学病院では、広島県、県内企業の産学官連携により、気管チューブの挿管・抜管、口腔ケア、PCR検査など口腔・鼻腔からの飛沫による医療従事者の飛沫汚染リスクを減少させる「飛沫プロテクタ」を共同研究し商品化することになりました。

概要

気管チューブの挿管・抜管、口腔ケア、PCR検査などの処置を行う際に生じる飛沫汚染対策のため、広島大学大学院医系科学研究科麻酔蘇生学の佐伯昇(さえき・のぼる)准教授が中心となり、広島大学病院感染症科の大毛宏喜(おおげ・ひろき)教授、同口腔総合診療科西裕美(にし・ひろみ)診療講師と共に、飛沫汚染対策製品「飛沫プロテクタ」を考案いたしました。

株式会社エイチアールイー(代表取締役社長: 堀江欣二(ほりえ・きんじ)、広島県東広島市)との共同研究により、令和2年度「マスク等個人防護具等開発支援事業」(広島県補助)にも採択され、(公財)ひろしま産業振興機構と企業とで連携コンソーシアムを形成し共同で事業化を進めてきました。

背景

COVID-19による飛沫汚染対策として医療従事者への個人防護具(PPE)の装着が推奨されていますが、気管挿管・抜管などの処置においては飛沫(図1)やエアロゾル(図2)が生じ医療従事者や周囲に付着してしまいます。一方、PPEを装着しての作業は医療従事者の体力消耗やコスト増大を招くうえ、PPEの表面や周囲に付着した飛沫のため脱衣時に汚染が拡がるリスクもあります。

飛沫を防ぐため、穴の開いたアクリルボックス(図3)などの方法が試みられましたが、操作が困難、エアロゾル暴露を避けられない、消毒作業が必要になる、などの問題のため、米国FDAからこれらの使用を控えるよう勧告が出されました
Letter to Health Care Providers, U.S. Food & Drug, 20. Aug. 2021.

図1: 飛沫の付着

図2: 周囲に拡がるエアロゾル

図3: ボックスから漏れる
エアロゾル

そこで、①医療従事者の上肢の動きを妨げない、②飛沫・エアロゾルを拡散させにくい、③消毒不要で汚染物と一緒に廃棄可能である、④安全に脱衣が行える、などの特徴を持つ飛沫プロテクタを作成しました。さらに、帯電防止加工済みの透明ポリエチレンを用いており、身体にまとわりつかず、低価格で、安全に焼却が可能です。

図4: 首掛けにより上肢の動きと作業空間を確保した
袋状の空間

図5: エアロゾルの拡散を抑制

今回商品化する飛沫プロテクタは、気管チューブの挿管・抜管(図6)のみならず、歯科処置の口腔ケア(図7)やPCR検査(図8)などの処置においても有用と考えられます。目下、市販されている同等品が存在しないことから、広島大学より全国の医療従事者へ、安全な作業環境の確立の一助となる製品を提案することといたしました。

製品写真

図6: 挿管・抜管使用イメージ

図7: 口腔ケア使用イメージ

図8: PCR検査使用イメージ

製品説明

「飛沫プロテクタ」は、袋状の透明シートに首掛けと腕部分を付け広い作業空間を作ることで、医療処置を容易にするとともに飛沫感染から医療従事者を守ります。特に、気管チューブの抜管時、歯ブラシを用いた口腔ケア時、PCR検査時などの飛沫やエアロゾルが発生する場面で有用と思われます。

プロテクタの首掛けは、作業姿勢のままを内側から引っ張ることで容易に切断できますので、脱衣時には「気管チューブ」等の感染リスクの高い医療廃棄物を、プロテクタの中に包み込んで一括廃棄することが可能です。

脱衣時のエアロゾル拡散を最小とするために、患者へのサージカルマスクの装着と、袋の中で吸引を続けながら容積を徐々に小さくし、ゆっくり外すことが有用と考えられます。

製品概要

製品名 飛沫プロテクタ
特徴 使い捨て可能で低価格
材質・色 ポリエチレンフィルム・透明
数量 1箱 30枚入り
サイズ 1080mm×950mm
販売価格 オープン価格(税別)
発売日 2021年3月吉日
製造元 株式会社エイチアールイー (広島県東広島市豊栄町清武2924-1)
販売元 株式会社ジェイ・エム・エス(広島県広島市中区加古町12番17号)
【お問い合わせ先】

<研究に関すること>
広島大学 大学院医系科学研究科 麻酔蘇生学
准教授 佐伯 昇
TEL: 082-257-5267
E-mail: nsaeki*hiroshima-u.ac.jp (注: *は半角@に置き換えてください)

<報道に関すること>
広島大学 財務・総務室広報部 広報グループ
TEL: 082-424-3701
E-mail: koho*office.hiroshima-u.ac.jp (注:*は半角@に置き換えてください)

<製品に関すること>
株式会社 エイチアールイー
TEL: 082-432-2280
E-mail: mail*hre.bz (注:*は半角@に置き換えてください)

<販売に関すること>
株式会社 ジェイ・エム・エス カスタマーサポートセンター
TEL: 0120-200517
E-mail: CSC*jms.cc (注:*は半角@に置き換えてください)


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