広島大学医学部医学科の本年度(2025年度)新入生120人が3グループに分かれ、5月、広島県安芸高田市甲田町の浄土真宗本願寺派高林坊を訪ねました。広島に原爆が投下される前日の昭和20年8月5日に当時の医学生や教職員が疎開し、被災を免れたゆかりの地。福間高顯住職の講話を聴き、境内や本堂を清掃奉仕して、広島の復興を医療で支えた先人に思いをはせました。
本訪問は、教養教育科目授業の一部として今年度初めて企画されました。14日は学生と教職員合わせて約50人が参加し、広島市南区の霞キャンパスからバスで移動。医学部医学科の同窓会「広仁会」の小林正夫会長が「皆さんと同じ18歳前後の学生が寝泊まりし、授業を受け、医学科が生き残れた場所です」と解説しました。福間住職は「病気に悩み苦しむ人に寄り添い、喜びや悲しみを共にできる人になってほしい」と語りかけました。
続いて、学生たちは30分余り、境内の草取りや本堂の清掃に励みました。学生からは「どんな状況でも勉学をあきらめなかった先輩方の話を聞き、学べる幸せを感じました」「人のつながりの中で生きていることを実感しました」「清掃奉仕して、清々しい気持ちです」などの声が聞かれました。
境内には、広島大学医学部が2025年に創立80周年を迎えたのを記念し、高林坊への深い感謝を表して建立した記念碑があります。埋め込まれた陶板には、第一期生の赤松和彦先生による高林坊本堂で授業を受ける様子が描かれています。新入生たちは、医学部の歴史が刻まれた碑文を読み、平和を希求する心を見つめなおしました。医学科1年生が医学を学ぶ第一歩として、まず高林坊を訪れるというこの取り組みは、次年度以降も継続していきます。広島大学から輩出される医師の礎になることを期待しています。

原爆投下の前日に疎開し学んだ高林坊

医学部ゆかりの寺で学生たちが清掃奉仕

清掃風景

小林会長から記念碑についての説明を受ける学生