拠点長ご挨拶
田中 純子 [理事・副学長 (霞地区・教員人事・広報担当)]
新たな知の創造と、社会課題の解決を目指して
近年、科学技術の発展においては、単一分野の深化のみならず、異なる分野の知を結びつけることによる新たな価値創造が強く求められています。文部科学省は第6期科学技術・イノベーション基本計画において「知の融合と共創による新たな価値の創出」を掲げ、分野横断型研究の推進を我が国の科学技術政策の重要な柱として位置づけています。実際、革新的な研究成果の多くは、異なる学問領域の知識や技術が結びつくことによって生み出されてきました。
こうした流れの中で、国の研究支援制度においても異分野融合型研究が積極的に推進されています。例えば、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST、さきがけ)や日本学術振興会(JSPS)の科学研究費助成事業における「学術変革領域研究」などでは、情報科学、工学、医療・生命科学など複数分野の研究者が連携する研究が進められ、従来の学問分野の枠組みを越えた挑戦的研究が推進されています。さらに、日本医療研究開発機構(AMED)においても、医療・生命科学と工学・情報科学を結びつけた研究開発が推進され、異分野融合による新しい医療技術や創薬の創出が期待されています。
こうした背景のもと、広島大学では、医学・歯学・薬学・保健学および大学病院が集積する霞キャンパスと、東広島地区の研究基盤を結び、工学、情報科学、生命科学、ゲノム編集などの先端研究分野と医歯薬保健学分野の連携を推進するため、「KASUMI異分野融合研究拠点」を設置しました。すでに本拠点の活動は約1年前から始まっており、異分野融合の共同研究が立ち上がりつつあります。本拠点は、2027年1月に竣工予定の放射線影響研究所と広島大学の合築棟1階に設置され、分野横断的な研究交流と共同研究を推進する拠点として機能します。
一方、霞キャンパスでは、2026年9月にワクチン・医薬品製造拠点(GMP施設)の竣工が予定されており、異分野融合研究を通じて、ワクチンや創薬につながる新たな研究シーズの創出を目指します。また、広島大学が採択されているJ-PEAKS(地域中核・特色ある研究大学強化促進事業)においても、分野を越えた融合研究の推進は重要な柱となっています。
KASUMI異分野融合研究拠点を通じて、広島大学の多様な研究者の力が結びつき、新たな知の創造と社会課題の解決につながる融合研究が生まれ、発展していくよう、学内外の皆様とともに取り組んでいきたいと考えています。
副拠点長ご挨拶
岡村 仁 [医系科学研究科長]
融合研究の新たな地平を切り拓く
医系科学研究科は、学問の深化と社会実装の両立を使命とし、分野の枠を越えた新たな知の創出に挑戦してまいりました。とりわけ、霞キャンパスと東広島キャンパスという地理的に離れた拠点が、それぞれの強みを持ち寄り、有機的に結びつくことは、本研究科の将来を左右する重要課題であると考えております。
その具体的な取り組みとして、令和6年12月に5つの「霞分室」を設置いたしました。さらに令和7年度には、東広島地区の研究内容を霞キャンパスの教員に広く共有することを目的に、各分室が中心となり「広島大学霞連携推進セミナー」を全8回開催いたしました。分野やキャンパスの垣根を越えた対話の場は、新たな共同研究の萌芽を生み、融合研究の基盤を着実に築きつつあります。
これらの取り組みをより明確に発信し、持続的に発展させるため、このたび「霞分室」は 「KASUMI異分野融合研究拠点」 へと名称を改めました。あわせてホームページを開設し、本拠点の理念と活動を広く共有してまいります。
令和9年度には、放射線影響研究所 が霞地区へ移転する予定であり、その建物1階にKASUMI異分野融合研究拠点が入居いたします。国際的研究機関との日常的な交流が可能となるこの環境は、本研究科にとって新たな飛躍の契機となるものです。
キャンパスの距離を越え、分野の壁を越え、研究を社会へとつなぐ――
KASUMI異分野融合研究拠点は、知と知を結ぶ結節点として、融合研究の新たな地平を切り拓いてまいります。
今後とも、皆さまの一層のご支援とご参画を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

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