第8回ランチタイムセミナーを開催しました。



 1/22(火),理学研究科附属両生類研究施設の三浦郁夫准教授による,第8回ランチタイムセミナー「新種サドガエル進化の謎」を開催し、30名以上の学生・教職員が耳を傾けました。

 まず三浦先生の自己紹介から始まり,先生は研究者の志としてパラダイムの変換(常識を塗り替えること)となるような仕事をしたいと考えており,青森県出身で弘前大学を卒業後広島大学大学院への進学が人生最大の転機だったが,その理由は,難しいカエルの飼育,すなわち卵を孵して次の世代を作るということを広島大学ではいとも簡単にやっていたからとのことでした。今回は,発見から新種としての命名まで15年かかった「サドガエル」についてのお話でしたが,「サドガエル」との出会いは,新潟大学の先生から佐渡島に変わったカエルがいるとの情報から始まり,通常のツチガエルは腹が白いが,このカエルは黄色だったとのことでした。

 生物学者エルンスト・マイヤーによる生物学的種の概念に,「交配し子孫を残すならそれは同一の種とみなす。しかし遺伝子の交流がなされず子孫を残さない(=生殖的隔離が完了している)なら異なる種とみなす。」という定義があり,この定義に耐えられるデータを集めようと考えたとのことでした。そのために,腹の白いツチガエルとこの腹が黄色いカエルを交配させると,その子はほとんどオスになり,しかも精子が少ないことが分かり,その結果生殖的隔離があると判断したとのことでした。この生殖的隔離があることと,腹が黄色であることなどの外部形態が異なること,遺伝子配列が明確に違うこと,鳴き声が大きく異なること(セミナーでは実際にツチガエルとサドガエルの鳴き声を聞かせてもらい違いがわかりました。)から新種と判断したとのことでした。

 新種と判断し命名するという興味深いお話に,会場からは「へぇー」「ほぉー」という声も漏れ,参加した学生達からもたくさんの質問があり,実物の「サドガエル」も見ることができ,充実したセミナーとなりました。

三浦 郁夫先生 会場の様子 腹が黄色い方がサドガエル


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