叢書インテグラーレ016

タバコ広告でたどるアメリカ喫煙論争

広島大学大学院総合科学研究科 編
岡本 勝 著

判型:B6判
ページ:186ページ
ISBN:978-4-621-30232-3
発行年月:2017-12
価格:1,900円+税
出版社:丸善出版(株)

出版社による内容紹介
アメリカ経済を植民地時代のはじめから支えてきた,葉タバコの生産とそれを加工した製品。これらが時代の流れとともに否定的に扱われるようになった経緯,さらには産業として根強いタバコ業界による反論を,さまざまなタバコ広告からひもとく。未成年者による喫煙や健康を志向する社会の変化など,それに対処しようとした業界の姿が本書では描かれている。受動喫煙に関して,タバコ使用に対する規制強化が叫ばれる現代社会の様相を,本書はあらためて考える契機にもなるであろう。

目次

プロローグ   
第一章 初期タバコ広告
タバコ広告のはじまり/J・カーによるユニークな広告/紙巻きタバコ製造のはじまり/
ジェームズ・デュークの出現/デューク社繁栄の理由/デューク社による多彩な広告/
シガレット・カード/ユニークな広告/タバコニストへの働きかけ/
「アメリカン・タバコ会社」の誕生/トラスト解体と紙巻きタバコ業界/「キャメル」の全国ブランド化/
「キャメル」の広告/「チェスターフィールド」の広告/「ラッキーストライク」の広告

第二章 紙巻きタバコの流行と時代背景
紙巻きタバコを選択した人びと/反紙巻きタバコ運動/タバコ広告の目的/
19世紀的社会から20世紀的社会へ/第一次世界大戦とタバコ製品/千載一隅のチャンス/
「紙巻きタバコ爆弾」の投下/第一次世界大戦がもたらしたもの/ヴィクトリア時代の道徳観/
女性によるタバコ広告/喫煙する女性が登場する広告/女性の解放や男女平等を訴える広告/
イースター・パレードへの参加/体重抑制効果を仄めかす広告/シガレット=キャンディー戦争/
シガレット=キャンディー戦争の余韻

第三章 健康をアピールする証言広告
薬剤としての葉タバコ/タバコ使用に対する警鐘のはじまり/喫煙が問題視されなかった理由/
肺ガンの症例増加/喫煙と肺ガン/医学界とタバコ業界/「医者」が登場するタバコ広告/
健康をイメージさせる広告/フィルター・タバコの増産/アスリートによるタバコ広告/
ベーブ・ルースによるタバコ広告/ルー・ゲーリッグによるタバコ広告/
J・ディマジオとT・ウィリアムズによるタバコ広告/ジャッキー・ロビンソンの登場/
W・メイズとH・アーロン/さらなるメジャーリーガーたち

第四章 タバコ不健康説と「マルボロ」広告
遡及調査研究/追跡調査研究/タールを使った動物実験/研究結果が与えた影響/
医務長官諮問委員会/1964年医務長官報告書がもたらしたもの/
電波機器によるタバコ広告の禁止/フィリップ・モリス・タバコ会社/「マルボロ」の性転換/
カウボーイによる伝説的な広告/米ソ冷戦を意識したマルボロ広告/もう一つのマルボロ広告

第五章 受動喫煙に関する意見広告
プラザホテルでの会合/「紙巻きタバコ喫煙者への率直な訴え」/喫煙に対するさまざまな規制/
迷惑行為としての受動喫煙/受動喫煙に関する研究/日本人疫学者による研究/
受動喫煙危険説への反論/ヒマラヤ論文への反駁/さらなる意見広告/1986年医務長官報告書/
1986年以降の意見広告/喫煙・非喫煙の一般市民が登場する意見広告/
市民生活への干渉をテーマにした意見広告

第六章 未成年者の喫煙に関する意見広告
メレル・ウィリアムズ文書/テレビの特集番組と議会公聴会/タバコ業界へのさらなる逆風/
タバコ訴訟のはじまり/訴訟とタバコ広告/1990年代に起こされたタバコ訴訟/
医療費求償訴訟をめぐる論争/リゲット社の動き/州政府とタバコ業界の和解交渉/
包括的和解合意/包括的和解合意の挫折/新たな和解合意/一括和解合意の成立/
未成年者の喫煙に関するフィリップ・モリス社の意見広告/レイノルズ社による意見広告/
未成年者への働きかけ/21世紀初頭のタバコ広告

エピローグ


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