平成30年7月豪雨災害の衛星画像 (処理成果) を掲載しました

 
大学院工学研究科 (輸送・環境システム専攻 航空輸送・海洋システム研究室) の作野裕司准教授の研究グループは,先日西日本で発生した平成30年7月豪雨災害直後に「Landsat-8 (ランドサット8号)」と「Himawari-8 (ひまわり8号)」によって撮影された衛星画像を,7月9日(月)に取得しました。

それらの画像に対する処理成果を,それぞれ下記のリンク先に掲載しました (PDFファイル)。今後の防災対策を検討する上で,御活用頂ければ幸いです。
 

その1: Landsat-8 から得られた画像の処理成果

20180709-Landsat8.jpg

7月12日(木)に,抜けていた三原市のデータを追加してPDFファイルを差し替えました。

この他,7月20日(金)に,災害の前後を比較したアニメーション (GIFファイル) を こちらのページ に掲載しました。

これらの画像からわかること

これらの画像は,豪雨直後の7月9日(月)午前にアメリカの地球観測衛星「Landsat-8 (ランドサット8号)」が広島県周辺を撮影した衛星写真です。これらは特殊な処理をして15mのものを識別できるような写真に加工しています。1枚目 (上記画像) は,広島県の南部を中心に切り出された広島県全体を俯瞰する写真で,一見して河川から瀬戸内海に大量の土砂が流れていることがわかります。2枚目以降は,主な市町村を拡大した写真になっています。特に被害が大きかった坂町周辺の写真 (3枚目) ではJR呉線の水尻駅 (ベイサイドビーチ坂に隣接) の裏山が大きく崩れて,線状に土がむき出しになっている様子がよくうかがえます。また,全写真で共通的にみられるのは,市町村の中心部に流れる河川の色が黄色に変色して,海の沖に勢いよく流れ出ている様子がうかがえます。いずれの地域も,作成者が普段の現地調査でよく知っている土地や水域であり,通常とは全く違う様子に,作成中もしばし呆然とし,自然の猛威に改めて驚嘆しました。

元画像: 米国地質調査所 (USGS) 提供
 

その2: Himawari-8 から得られた画像の処理成果

20180709-Himawari8.jpg

この画像からわかること

この画像は,豪雨直後の7月9日(月)午前に日本の気象衛星「Himawari-8 (ひまわり8号)」が西日本全体を撮影した衛星写真です。ひまわり8号は通常,2.5~10分に1回,日本周辺を約1kmのものを識別できるような写真を撮影しています。通常は上空の雲を撮影する衛星ですが,雲の合間から見える地表面も同時に撮影することができます。しかし,元の画像のままでは雲に覆われている部分が多いので,この画像は午前9時から午後1時10分までの計25シーンを使って,陸域が映っている場所だけを合成した写真になっています。これより,九州,四国,関西の海岸線にそって黄土色の水塊が見られ,豪雨により河川を通じて海に大量の土砂を流出している様子がよくわかります。

元画像: 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の分野横断型プロダクト提供サービス (P-Tree) 提供
 

今後の防災対策を検討する上での活用法

今や様々な解像度 (数10m程度~1km) の衛星データは,世界中に無料で配信されています。今回のような広範囲で全体像が把握しにくく,また災害後の危険性が高い場合,このようなある程度の解像度で安全な場所で全体を俯瞰できる衛星データは,防災上,非常に有益だと考えられます。実際の使用法としては,このような衛星写真を使って,大規模な災害現場や未確認の災害現場を即座に把握し,優先的に対策を講じることができます。最近は,飛行機やドローンによる空撮も迅速かつ盛んに行われていますが,どうしても飛行できる箇所が限られ,悪天候では飛行することもできません。衛星では今回示した可視データだけではなく,雲が映らないレーダー画像なども有益です。これを機に,我々のような研究者だけでなく,行政担当者も日ごろから衛星データの加工や判読に習熟するような講習をすれば,さらに今後の防災対策に有効と言えるでしょう。

当記事に関する問い合わせ先

 大学院工学研究科 輸送・環境システム専攻
 (学術院理工学分野 機械・総合工学ユニット)
 航空輸送・海洋システム研究室
​ 准教授 作野 裕司
 TEL: 082-424-7773


up