歩行フェーズに応じた支援が可能な空気圧人工筋式アクティブ短下肢装具を作製

本研究成果のポイント

〇歩行フェーズに応じた足関節底背屈動作支援が可能なアクティブ短下肢装具を作製しました。

〇駆動部である空気圧人工筋、トリガーである足底に配置したセンサ、制御及び空気圧供給源であるコントローラから構成されており、本装具により少ない筋活動でも足関節を大きく動かしながら歩行可能であることが確認できました。

〇本成果は、ダイヤ工業株式会社から販売されている「パワーアシストブーツ」に応用されており、脳卒中片麻痺、脊髄損傷患者さま用のリハビリ支援への利用がはじまっています。

概  要

片麻痺者の歩行を補助する短下肢装具により、歩行が著しく改善することは臨床上よく知られています。短下肢装具の種類は、シューホーンとよばれる脚継手を持たないプラスティック短下肢装具、金属支柱付短下肢装具、足継手付プラスティック装具など多岐にわたっています。しかしながらそのほとんどがパッシブ方式であり、歩行中特定のフェーズでしか必要な補助機能を発揮することができていません。

そこで我々は、ダイヤ工業株式会社との共同研究によって、踵と母指球の接地を圧力センサで計測することで歩行周期を4フェーズに分割し、各フェーズに応じた空気圧ゲル人工筋による足関節底背屈動作支援が可能なアクティブ短下肢装具を作製しました。

本装置は、駆動部である空気圧人工筋、トリガーである足底に配置したセンサ、制御及び空気圧供給源であるコントローラから構成されています。作製した装具を使用した歩行試験を実施したところ、最大屈曲角度の平均値は支援無に比べて支援有で5.62[°]大きくなりました。また、表面筋電位の%MVCは支援無に比べて支援有で前脛骨筋が36.4[%]、腓腹筋が16.7[%]減少しました。

以上より、本装置の支援により少ない筋活動でも足関節を大きく動かしながら歩行可能であることが確認できました。本成果は、ダイヤ工業株式会社から販売されている「パワーアシストブーツ」に応用されており、脳卒中片麻痺、脊髄損傷患者さま用のリハビリ支援への利用がはじまっています。

 

【論文情報】

小川和徳、上井一輝、木村浩彰、平田和彦、栗田雄一、歩行フェーズに応じた支援が可能な空気圧人工筋式アクティブ短下肢装具の開発、日本機械学会ロボティクスメカトロニクス部門講演会2022、2A2-E11,2022.6.1-3


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