本研究成果のポイント
〇自己組織化ハイドロゲルの簡便な形成プロセスを開発し、所望量の薬物を容易に内包することに成功しました。
〇このシステムでは、内包した薬物を水性環境下に放出する際に、放出環境下(pHと温度)を変化させることで、薬物の放出速度と放出率の制御に成功しました。
〇薬物を内包したハイドロゲルの細胞毒性を評価し、48時間後には80%のがん細胞を死滅させることに成功しました。
概 要
本研究では、疎水性薬物を所望量含む自己組織化タンパク質構造体を利用し、各水性環境下において薬物の放出量と放出速度が制御可能であることを明らかにしました。私たちの理論では、正確な濃度の薬物を含むゲル状キャリアを、自己組織化プロセス中で直接封入することができるというものです。
自己組織化ハイドロゲルを使用する利点として、超分子材料を形成する過程で薬剤を内包可能であり、緻密な構築分子を設計することで、その機能を効率的に制御することが可能である点です。私たちは、このゲルの構造分析として、ゾル-ゲル転移試験や薬物放出環境下(温度、pH)を変化させた際の薬物放出測定を行いました。さらに、ハイドロゲルががん細胞の生存率に及ぼす影響を検証し、薬物徐放性プラットフォームへの適合性を確認しました。これらの結果はハイドロゲルの様々な分野への応用が期待でき、非常に大きなインパクトを持っています。
また本論文は掲載雑誌の表紙に採用されました。