パーソナルフィット制御系の設計とその応用に関する研究

本研究成果のポイント

〇自動車や建設機械、航空機などシステムの中に人間が介在するHuman-in-the-loop (HITL) システムを対象として、システムが人間に寄り添う新たなシステム設計論を確立するための研究です。

〇制御理論に基づいて、個々人にとっての最適な機械特性を推定し、機械特性をその最適特性に一致するように補償します。これにより、人間による主体的な操作によって操作性が向上し、操作の楽しさややりがいのような体験価値の向上に寄与することが期待されます。

〇HITLシステムの代表例である自動車を対象に、個々のドライバのもつ最適車両特性をシステムが探索し、自動的に調整できることを実証実験により確認しました。

概  要

 近年、日本ではSociety5.0といわれる人間の多様性や価値観を尊重し、well-beingを実現することの重要性が高まっています。産業界でも同様に、従来の機能重視の製品開発から体験価値を重視するような流れにシフトしています。HITLシステムは機械と人間が協調して動作することを前提とするため、特に人間の多様性や状態の考慮が重要となってきます。

 本研究では、HITLシステムにおいてシステムが人間に寄り添う新たなシステム (パーソナルフィット制御系) の確立を目指しています。具体的には、人間の主体的な操作を前提に、操作者の所望の操作性の実現に向けて機械特性を個々人に最適化する制御系を構築します。これにより操作の楽しさややりがいのような体験価値の向上に寄与することが期待されます。

 現在は、HITLシステムの代表例である自動車を対象としてパーソナルフィット制御系の有効性検証に取り組んでいます。実証実験ではドライビングシミュレータを用いて実環境を再現し、広島大学の学生や高齢者の方々に被験者として参加して頂いています。実証実験の結果、個々のドライバには運転しやすい最適車両特性が存在し、その最適車両特性に自動的に車両特性を調整できることを確認できました。これにより、誰しもが長く快適に運転できるような運転支援システムとして実用化が期待されます。


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