このたび、国立大学法人広島大学、国立大学法人東京農工大学、学校法人東京理科大学、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、国立大学法人名古屋工業大学は共同で、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST: Japan Science and Technology Agency)の「TopのためのASPIRE」(ASPIRE FOR TOP SCIENTISTS: Adopting Sustainable Partnerships for Innovative Research Ecosystem)に採択された研究プロジェクト「無線テラヘルツ技術に関する国際研究イニシアティブ(Global Research Initiative on Wireless Terahertz, GROW-THz)」を開始します。本プロジェクトでは、2029年度までの5年間に5億円の研究費を受け、次世代の超高速通信技術の研究開発に取り組みます。
本プロジェクトの研究代表は広島大学大学院先進理工系科学研究科の藤島 実教授が務め、日本国内の5機関(広島大学、情報通信研究機構、名古屋工業大学、東京農工大学、東京理科大学)のほか、ベルギーのimec※、フィンランドのオウル大学、ドイツのアーヘン工科大学、オーストリアのグラーツ工科大学、米国のラトガース大学など、計10機関が参画します。
※imec…世界最大級の半導体研究開発機関
「TopのためのASPIRE」の目的
ASPIREの枠組みでは、国際共同研究を支援する中で、日本の研究者が世界トップレベルの研究サークルに参画し、継続的に世界で活躍できる基盤を構築することが求められます。また、若手研究者の育成を重視し、次世代の科学技術を牽引する人材を国際的に育成することを目指します。本プログラムでは、以下を重視しています。
- トップ研究サークルへの参画促進
- 国際研究交流の活性化
- 次世代研究者の人材育成
本プロジェクト「GROW-THz」では、これらの目的に応じて、従来比10倍以上の伝送容量となる300 GHz帯を中心とした次世代通信技術の研究開発だけでなく、国内外の若手研究者や大学院生を対象に、数か月から1年間の派遣や招聘を通じた頭脳循環を推進します。特に、博士課程大学院生を1年間海外の共同研究機関へ派遣するプログラムを実施し、国際的な研究環境での経験を通じて次世代の研究リーダーを育成します。このような取り組みを通じて、国際的な研究ネットワークの構築、研究成果の国際普及、そして次世代人材の育成を目指します。
「GROW-THz」プロジェクトは、急速に増加するデータ通信需要に応えるべく、300 GHz帯を中心とした次世代超高速通信技術を開発することを目的としています。特に以下の分野に焦点を当てています。
- 大規模フェーズドアレイの開発
- 性能均一化技術の進化
- 革新的なテラヘルツ通信システムの展開
この技術は、IoT機器、自動運転車、スマートシティなど、多岐にわたる応用分野で高速かつ低遅延の通信を実現することを目指しており、通信インフラの飛躍的な進化に貢献します。
具体的には、IoT機器や自動運転車における大容量データ通信の迅速化や、スマートシティにおけるリアルタイムのデータ収集と分析などに繋がることが期待されます。