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大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII、所長:黒橋 禎夫、東京都千代田区)アーキテクチャ科学研究系 教授/所長補佐、鯉渕 道紘、特任助教 平澤 将一は、国立大学法人 広島大学(学長: 越智 光夫、広島県東広島市)大学院先進理工系科学研究科教授 中野 浩嗣、富士通株式会社(代表取締役社長 時田 隆仁、本店 神奈川県川崎市中原区)シニアプロジェクトディレクター 福本 尚人、リサーチディレクター 本田 巧の研究グループと共同で、FPGAクラスタにおける通信性能を大幅に引き上げる超低遅延・高帯域圧縮通信技術を開発しました。本技術は、FPGA間通信においてデータ圧縮と復号を含めて590ナノ秒という極めて低い遅延を実現し、さらに1 台のFPGAあたり最大757Gbpsの実効通信帯域を達成しました。本成果は、計算性能の高さに比べ通信性能がボトルネックとなっていたためFPGAベースの高性能計算システムに対し、高いスケーラビリティを提供するものです。
近年、書き換え可能な専用回路(FPGA: Field Programmable Gate Array)を多数つなぎ、高速・低遅延・省電力で特定の処理を並列実行できる計算システム(以後、FPGAクラスタと呼ぶ)が注目を集めています。高性能なFPGA カードには高帯域なメモリが搭載され、単体カード内の計算性能およびメモリアクセス性能は大きく向上しています。一方で、FPGA間の通信帯域や通信遅延は依然として制約が大きく、特に集合通信*1を多用する大規模並列処理やAI学習では、通信がシステム全体の性能を支配する要因となっていました。
この問題を解決する手段としてデータ圧縮が注目されていますが、従来のデータ圧縮方式はハードウェア実装の複雑さや処理遅延の増大が課題となり、超低遅延通信には適していませんでした。
本研究では、この問題を解決するデータ圧縮通信技術を開発しました。特徴は、どのような場合でも通信データが元より大きくならない軽量な圧縮方式と、通信路の幅に合わせてデータを整列させる独自の回路構成を組み合わせている点です。図1に示す提案FPGA回路の例では、16個の数値データ(合計512ビット)をメモリから一度に受け取り、これらを圧縮後、256ビット幅の通信路に効率よく送り出します。従来の方式では、圧縮後のデータを通信路の幅にぴったり合わせる処理が難しく、これが通信速度の低下を招いていました。本技術では、まず入力されたデータの並び順を入れ替えることで、複数のデータを同時に並列に圧縮でき、処理を高速化できます。圧縮されたデータは通信路の幅に揃えて送り出されるため、通信帯域を無駄なく活用できます。この例の回路を用いた評価では、実質的に通信性能を非圧縮時と比べて約2倍に高めながら、通信全体の遅延をサブマイクロ秒(100万分の1秒未満)という低遅延に抑えることに成功しました*2。
本技術は、光技術を用いた高速通信回線を備えるFPGAクラスタにおいて実装され、1対1の通信だけでなく、集合通信においても最大757Gbpsという高い通信性能を達成しました。さらに、AIの分散学習で用いられる勾配データの通信に適用したところ、学習結果の精度にほとんど影響を与えないことも分かりました。
図1: 16個(計512ビット)の入力データを圧縮して256ビットに出力する回路例
本成果は、FPGAクラスタに限らず、将来の光インターコネクトを用いた高性能計算システムやAIアクセラレータにおいても有効性が期待されます。今後は、適応的な誤差制御や様々な数値表現への拡張を進め、より幅広い応用分野への展開を目指します。
(*1)複数の計算ノード(FPGAを含)間でデータを一斉に送受信・共有する並列計算向けの通信方式。
(*2)評価に用いたFPGAクラスタは、8台のFPGAを約50Gbpsの専用光リンクで相互に接続する構成。各FPGAは異なるXeonサーバーに格納されている。詳細: Michihiro Koibuchi, Takumi Honda, Naoto Fukumoto, Shoichi Hirasawa, Koji Nakano, A 590-nanosecond 757-Gbps FPGA Lossy Compressed Network, IEEE Transactions on Parallel and Distributed Systems, Volume 37, Issue 4, pp.836-848, 2026 DOI 10.1109/TPDS.2026.3659817.
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掲載日 : 2026年03月05日
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