複数の丸鋼芯材を用いた座屈拘束ブレースの開発 ~建築構造物の耐震性向上を目指して~

本研究成果のポイント

建築構造物の新しい耐震部材として、複数の丸鋼芯材を用いた座屈拘束ブレースを開発

実大の試験体を用いて載荷実験を実施し、提案する座屈拘束ブレースが十分な性能を発揮できることを確認

有限要素解析によるシミュレーションを実施し、提案する座屈拘束ブレースの構造性能を詳細に分析

概  要

 建築構造物の耐震性能を向上させることを目的として、近年国内外で座屈拘束ブレース(以下、BRB)の適用が増えている。BRBとは大地震時のブレース座屈による地震被害を抑止できる高性能な耐震部材である。BRBの芯材には様々な形状の鋼材が使われているが、近年丸鋼芯材を用いたBRBが提案されている。 

 本研究では、丸鋼芯材を用いたBRBの新しい形式として複数の丸鋼芯材を用いたBRBを提案している。特徴は、丸鋼芯材を直接座屈拘束する1次補剛管と全体座屈を拘束する2次補剛管から構成されるという点である。これまでに2つの形態を提案しており、特に第2の形態では1次補剛管群の外側に角形鋼管の2次補剛管を配置しBRBの軽量化を図るとともに端部接合部の簡素化を実現している。実大規模の試験体を用いた繰返し実験により十分な性能を有することを確認している。さらに有限要素解析によるコンピュータシミュレーションを通じて、BRB各構成要素の挙動を詳細に分析し設計に有用な情報を得ている。 

 建築物の地震被害を低減するための耐震技術は重要な研究課題であり、本研究成果は関連研究分野の進展に寄与するものである。


【論文情報】

[1] Sijin Zhang, Hiroshi Tagawa, Xingchen Chen, Study on buckling-restrained braces using multiple round steel core bars, Journal of Constructional Steel Research, Volume 199, 2022, 107573, https://doi.org/10.1016/j.jcsr.2022.107573.

[2] Sijin Zhang, Hiroshi Tagawa, Xingchen Chen, Buckling-restrained brace with multiple steel bar cores using SHS outer tube, Journal of Constructional Steel Research, Volume 211, 2023, 108175, https://doi.org/10.1016/j.jcsr.2023.108175.


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