本研究成果のポイント
〇ランダム配向されたカーボンナノファイバーを用い、7~14W/m・Kの範囲で熱伝導率を有する熱界面シートの開発に成功した。現在多く使用されるグリース系TIMの1~4 W/m・Kよりも優れる結果が得られた。
〇PVA中にカーボンナノファイバーを混合し、厚さを制御したシート状の熱界面材料を作製可能なプロセスを開発した。
〇PVAにPTFEを混合することで、高温高湿下、熱特性の低下が生じない成果が得られた。
概 要
電子機器内部(CPU、LEDバックライト、パワーチップ)に発生する熱を効率的に外部に放出するために用いられている熱界面材料が注目されている。熱界面材料とは発熱部と放熱部の間の凹凸による空隙を防ぐために挟み込む材料のことである。熱界面材料にも様々な種類が存在するが、作業性や価格、使用条件などが優れている熱界面材料として熱界面シートの開発が求められている。
開発したカーボンナノファイバー熱界面シートの厚さは、25µm‐50µm間であり、気功の少ない緻密なシートが作製できた。カーボンナノファイバー熱界面シートの組織観察した結果、PVAとPPTEはカーボンナノファイバー間に浸透され、カーボンナノファイバーがランダム配向されている。カーボンナノファイバー熱界面シートの平均硬さ(Hs)は約84であり、曲げても割れにくく、さらさらとした触り心地で、作業性に優れている。現在多くの場面で使われている熱界面材料であるグリースの熱伝導率および熱抵抗値を比較と、熱抵抗値および熱伝導率が優れた高性能な熱界面シートであると位置付けできる。
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【論文情報】
published in Scientific reports (IF=4.997), Article number: 17183 (2021)
DOI: 10.1038/s41598-021-96691-z