油圧ショベルのデータベース駆動型掘削支援制御系を設計

本研究成果のポイント

〇掘削作業において高い生産性を実現するために、油圧ショベルのアタッチメントの合成重心速度に基づく掘削支援制御を構築している。

〇操作者の操作自由度を損なうことなく、調整操作が不得意な非熟練者でも滑らかな掘削作業を実現することができる。とくに、「データベース駆動型制御」採用していることで、機器特性や土質環境などに起因するシステムの非線形性に対しても、有効に掘削支援の実現を可能としている。

〇実際に、油圧ショベルに実装し、「データベース駆動型掘削支援制御」の有効性を検証している。

概  要

 近年、少子高齢化の進行に伴い、建設業界における労働力は低下している。そのような状況においても、作業現場の生産性を維持するには技量が乏しい作業者でも高い生産性を実現する必要がある。特に、油圧ショベルは現場の生産性に大きく寄与するため広く用いられるが、システム特性が非線形である油圧ショベルにおいて、生産性の高い作業を実現することは容易ではなく、優れた操作の習熟には時間を要する。そのため、非熟練なオペレータであっても効率的な作業が必要とされる。 この問題を解決することを目的とし、油圧ショベルの非線形性にも対応可能な「データベース駆動型掘削支援制御系」を構築している。具体的には、まず、油圧ショベルのアタッチメントの複合重心の挙動に着目し、オペレータの操作特性の違いを定量的に評価している。次に、このアタッチメントの重心速度に基づいて、掘削作業における掘削支援制御系を構築している。さらに、データベース駆動型制御法を導入することで、油圧ショベルの非線形性に対応して、掘削支援制御系の制御パラメータを調整する適応調整機構を構築する。なお、本制御系設計法を実際に油圧ショベルに実装し、掘削中に土砂から受ける負荷の変動や掘削姿勢の変化に対する有効性を検証している。


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