西洋哲学の探求

哲学へのいざない

「哲学とは何か?」さまざまな哲学観があるため、この問に対して簡明に答えることは困難です。

しかし、あえて言えば、つねに事象の根本にまで遡ってする原理的な思索、これがおそらく哲学の最も一般的な定義でしょう。その思索は、科学の場合とは異なり、個々の対象の認識をめざすのではなく、むしろ人間の認識そのものの可能性や限界を問題にしたり、あるいは、自然、世界、神などのような普遍的全体的な存在の意味や、それと関わる人間の在り方などに向けられます。

その中には、とうぜん科学・技術の本質や意義などに対する批判的考察も含まれます。そうした反省を経てこそ、科学・技術も真に有用なものとなりうるのです。あらゆる人間的な営みの根底に哲学がなければならないのです。科学技術が発達した現代だからこそ哲学的思索が必要だと言えるでしょう。

カリキュラム-何が学べるか

哲学概論や古代・中世から近世・現代にいたるまでの哲学史などの哲学の基礎的知識を学ぶと同時に、演習という形で哲学の原典にふれ、先哲の思想を直接に読解し味読する力を獲得することができます。

こうした授業を通して、思想研究に不可欠な文献学的研究方法を修得するとともに、物事を深く、かつ多面的に考察する態度が養われます。現代が必要としている、自分の頭でものを考えることのできる人間を育てることをめざしています。

卒業論文

4年次には、それまでの学習の総仕上げとして卒業論文を作成することになります。プラトン、アリストテレス、トマス、カント、ヘーゲル、フッサール、ハイデガーなどといった哲学史上の巨星たちのテキストと格闘することを通して、哲学的思索の難しさや面白さを体験します。

苦労して論文を仕上げた後の充実感によって大学で学ぶことの意義が了解されるでしょう。

西洋哲学分野の特徴

文科系の学問研究には豊富な蔵書が不可欠であることは言うまでもありません。わが研究室は、日本でも有数の蔵書を誇り、研究室と図書館の書庫に分けて配置してあります。図書館書庫の文献は、図書カードによる検索のほか、研究室のパソコンでオンライン検索することが可能です。

研究室の学生相互のつながりは緊密で、日常的なふれ合いや折々のコンパはもとより、学生が主体的に運営して研究会や卒論発表会などを行い、お互いに切磋琢磨する研究的雰囲気を醸成しています。また研究室の雑誌『シンポジオン』を発行しています。第一分冊は、在学生とOBの近況報告やエッセーなどの作品、住所録を掲載し、世代を越えた交流の場となり、第二分冊は、学術論文を掲載し、院生、卒業生、教員の研究発表の場となっています。

プラトン

▲ステファヌス版 プラトン全集(1578年)


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